第1話 プロローグ

僕は図書館栄養士だ。名前は伊藤隆起。


非戦闘職の僕は毎日、図書館で学校帰りにアルバイトをして帰る。それが僕の日課。


司書さんが僕に訪ねて来る。毎日僕のスキルを頼りにしてくれるんだ。


「隆起くん。悪いけど、アルベニアの経済の本見つけてくれる?」


「はい。スキル図書館検索。見つかりました。・・北棚3号の12列目にあります」


「ありがとう」


僕のスキルは図書館検索しかない。


図書館にある本をどこでも調べられるスキル。


それだけしかない僕は戦闘ができなくてうちも片親で貧乏だ。




僕には幼馴染がいる。川上ルルナだ。


実は彼女はVtuberをやっていて、結構最近稼いでいる。


彼女はダンジョン配信をやっている。


ただそれだけだと人気が出ないから、


身近にある生活用品でモンスターを倒している。


毎回、視聴者のリクエストに応えて戦う生活用品を変える。


「今回はバールで戦ったの。けっこう怖かったわ」


「視聴率は稼げた?」


「それなりね。もっと面白い動画撮れればいいんだけど」


ルルナの悩みは深い。




僕は母さんと二人暮らしだ。


父さんはダンジョン探索者だったけど、


僕が中学校のときにオーガーに殺されて死んだ。


重戦士だった父さんは強かった。


だけど、僕は図書館栄養士だ。戦いのスキルが使えない。


図書館検索だけだ。


母さんは言う。


「無理して戦おうとしなくていいのよ」


「でも、僕も戦えてダンジョン中継者になれば稼げるから」


ダンジョン中継者は稼ぎが多い。


1億円とか平気で稼いでる人間がいる。うらやましい。





僕は高校1年だけど、クラスで図書館栄養士だから揶揄われる。


クラスの中山だ。


「栄養士。お前ダンジョンも潜れないんだろ? ははは」


「・・・潜れないわけじゃないよ」


「ダンジョン1階にしか入れないヤツは戦ったって言わねえよ」


「・・・」


強くなりたい。すぐに強くなりたい。


図書館よりもっと戦って稼げる仕事がしたい。


そこでルルナに言われたんだ。


「Vtuberとしての私の撮影をアルバイトで手伝ってくれない?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る