「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部」

久方フリー

鈴虫の羽音を以て絢と為す手花火落つる散り菊のとき

線香花火は手花火ともいうそうだ。「線香花火」というフレーズ、日常で使う分には私も好きなのだが、歌で詠むには物足りない。昔は西日本と東日本で形状も違ったようだ。線香花火の最後の一閃、その拡がりを、菊が花びらを落とす様に重ね合わせた喩えに晩夏の夜が思い起こされる。帰郷して家族と過ごす時間が恋しくなった。

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