第373話 もっちゃれらがびよーんだからさぁ!ゲラゲラゲラ

 ひよりの無意識な彼女サゲ発言によって根負けした由奈氏。大人の体裁を保つためにピッツァを頼む…。ああ、無邪気な子どもと無慈悲な現実よ。ムムム…


ひより「わーい!もっちゃれらー!のびのび〜♡」*振られないのが不思議な無垢のちびっ子。

由奈「…それで?何の話してたの?」*また胃が痛いです。

仁映「今ところ、ひよりがアルバイトする話よね。それで話が進まなくて…」

由奈「アルバイト?ひより、まだ進学したばかりだし早いんじゃ、、」

ひより「ううん!大丈夫だもん!講義の少ない日あるし!ブンブンりょーどーだよ!ぷんぷんちゃがまー。」

由奈「分福茶釜の意味はわからないけど、でも…大変だよ?それに、土日は?」

ひより「土日はやらないもん。由奈さんといる時間が減っちゃうからね〜。ひよりそれはゼーったい、ぜーったい!やだからさ。」

由奈「そっか。」カワイイ、スキ…タマニムカツクケド…


 にっこりんちょのぴより。慈愛の微笑み弥勒菩薩の由奈氏。絡み合う視線…二人だけの世界。


仁映「あ、いーなぁー!私もそんな風に甘く視線からめたーい。壁どーんされたぁぁい♡」

由奈「仁映ちゃんが壁ドンしそうなキャラだよね。逃さへんで〜って。そういえば、さゆりさんとはどうなったの?」


 あ、しまった。この笑美ちゃんって子には、さゆりのことは言ってないのかもしれないと、由奈は少し心配した。だが、仁映は何食わぬ顔で返事をする。


仁映「エヘヘ♡おかげさまで!お付き合いすることになりました〜♡あーん、言っちゃったぁ♡」

由奈「は?昨日の今日で?そんなことある??それ、妄想じゃなくて?キミ、倫理観って言葉教わった事ある??」


 正直、半分くらいは妄想だったが、それを知るものはまだいない。付き合ったと言うより捕縛だし。


仁映「うふ♡私達、運命だったんです♡あのね♡昨日は寝落ち通話してて(仁映が電話を切るのを拒んだから)、どっちが先に切るかでどっちも切れなくて♡(さゆりが切ろうとすると泣いた)」

由奈「へ、へえ。まあ、いいけど。そーなんだね…へぇ。」*ピザソースまみれのぴよりの口を拭きながら。

ひより「むぐぐ。ひよりと由奈さんがキューピッドだかんね!あははははー!」

由奈「そうだね。(こいつ…調子に乗りまくってるな。あとで覚えてろ…)」

ひより「あ、なんか痛い!もっと優しく拭いてっ!?イチチチ。」


 ぴよりがたわしで擦られるように唇を拭かれ、謎の悪寒を感じたその時、こってりしたぴよりと仁映の強キャラに隠れていたアイツが、ついに口を開いたのだった。


笑美「えっと、そろそろ話をする番いいかな?」

ひより「びくっ!あで?なんか寒くない??悪寒がした今。。あ、笑美ちんがなんか話あるんだったね。早く話してピザ食べて帰りな??」*由奈の怒りに反応して軌道修正したかわいいの塊。


 きた。やっとこの時が来た。長かったんだ。ついに笑美は理解者を得て、羽ばたく時が来たんだ。そう、笑美が大学デビューの恋愛ど素人だということを。そしてなんなら仁映以上に恋をしたくて煩悩まみれなことを。頭の良い笑美。やっと頭の中の論文を発表する時が来たんだ!


笑美「助けてくださいっっっっっっ!!!!!!」

由奈「え?」

ぴより「ん?」モチャモチャ

仁映「麦茶とかあります?」


 全然、自分の想いをまとめられていなかった笑美だった。


ぴより「どちた??あ、サラミ固くて食べられない??」*介護5級

由奈「何か、相当困ってるのかな?私で良ければ聞くよ?」*介護1級

仁映「さゆたんから返信こないなー。」*煩悩1級


 やっと、この癖しかない人たちが自分の話を聞いてくれる。良かった。大学でこれからずっと、この人たちの光によって影になってしまうのかと思った。笑美は意外ととても不安だったのだ。意外でもないか。笑


笑美「ありがとう!由奈さん!私、私っ!大学デビューなんです!!付き合ったこともなければ恋をしたことすらありません!処女なんですっっっっ!!!」*もう由奈しか見えていない。正解。


ぴより「しょーーーーっっっっ!!!!???」*そうなの!?と処女なの!?が混ざったかわいいの塊ぴより。


仁映「え、そうなの?」*この子は高校でモテの頂点にいました。


由奈「なるほど。大学に入って、これから恋がしたいんだね。」


笑美「由奈さんっっ!!!!ここに私の理解者は貴方しかいない!やっぱり来て良かった!!!!」


ぴより「ご飯食べたから眠い〜」



 体だけは4人、同じ場所に集まっているけれど、意識はそれぞれ別の場所にいるこいつらだった。そして、由奈はまた安らぐことのない1日となる。ちなみに全員、お勉強はめちゃくちゃできます。。何だろうね。


 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る