第136話 スコール女に青春を味合わせたいドライヤー女

 ペンションに戻ってお昼寝した2人は、十分体力を充電できた。夕ご飯は夢子と3人で和気あいあいと食べた。


「じゃじゃーん!ひより!花火買ってきたんだ!3人でやろう!」

「ちょわーーーー!!やるやるやるやるやるっ!!」


 夢子がひよりのために、おこづかいで花火を買ってきてくれていた。都会では近年、庭で花火をやるような習慣は消えてしまっている。これもまた、ひよりにとっては初めての経験だった。


 珍しそうに花火を1つずつ手に取って見ているひより。それを見てもっと嬉しそうなのは由奈だった。

「夢子ちゃん、ありがとう。おかげで良い思い出になるよ。」

「どういたしまして!こどものころに由奈ちゃんと一緒にやったよね!」

「そうだったね。懐かしいな。」


「早くー!やり方わからない!夢子!」

「はいはい。まずはバケツに水を用意します!井戸にいくよ!」ダダダダダ‼

「はいっ!花火先生!!」トテテテテ‼


 またしても2人で走って大騒ぎだ。


「ひより!ろうそくで火をつけたら手前に向けるんだよ!」

「わかった!ううっ、、こわい。ドキドキする!!」


 ひよりが花火に火をつけると、勢いよく火花が散りだす。慌てて前に向けると、やがて青や赤、緑の炎が勢いよく燃えさかった。


「ひゃーーー!!きれいーーー!由奈さん、見ててー!!!」

「見てるよー!気をつけてー!」


 由奈は椅子に座って、ひよりと夢子を見守った。2人はケラケラと笑い合いながら、勢いの良い花火から順に次々に火をつけて楽しんだ。


「あーーーー笑った笑った!次は、、線香花火!!」

「由奈さんもやろー!!」


「わかったよ。じゃあ、3人でやろ。」


 3人でしゃがんで、いっせーのせで線香花火に火をつけた。誰も喋らない。火の玉が落ちないように、ひよりは息すら止めていた。


「・・・・・あ、おちた。」

「・・・・・ああっ!落ちちゃった。」

「まだまだ・・・あ、だめか。」


 ついに全ての花火をやり終えた3人。


「楽しかったぁ!もっと遊びたかったなぁ!」

「私もだよ、ひより。またおいでね?」

「うん!また遊びに来る!!」

「明日、帰っちゃうんだね。寂しいなぁ。」

「ゆ、夢・・・」


 うるるんとしたひより。寂しそうな夢子。そんな2人を見て由奈は、、


「そうだ!今日は3人で眠くなるまでトランプでもしようか!」


 ひよりとは、これからいつでも二人きりだ。たまにはそういう日があっていいじゃないか。この、2人の友情を大切にしてあげよう。そう由奈は思ったのだ。


 しかし、ひよりはあから様に顔に出した。


(え?今日こそ、熱い夜を過ごすはずじゃ・・・)ガーン


 由奈は、ひよりの近くに行って、耳元でつぶやいた。


「帰ったら沢山いちゃいちゃしよう?今日は夢子ちゃんと友情を深めなよ。」ヒソヒソ


「・・・・・・うん。そうだね!夢!今日は寝ないで遊ぶよ!!」

「わかった!!!ゲーム全部持ってくるから待ってて!!!」


 嬉しそうに、夢子は自分の部屋にゲームを取りに行ってしまった。


「今日は由奈さんといちゃいちゃするつもりだったんだけどなぁ。。」

「まぁまぁ。ここでしか出来ない楽しみもあるからね。そのかわり、」


 由奈は、ひよりの両頬を両手で持つと、ゆっくりと優しくキスをした。


「続きは帰ってからね?」

「ひゃい・・・好き、由奈さん♡」



 結局、由奈は夜中に脱落して1人で寝た。


 ひよりと夢子は、朝までどろどろになるまで遊んでいたらしい。


 帰り道が心配・・・続く。

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