第36話 赤羽っちと渋谷っちと大宮っち

 月曜日。由奈は仕事に行き、ひよりは学校へ。


 ひよりが教室に入ると、ひよりとは別のグループである仲良し組、「最強トリオ」と呼ばれる3人組陽キャで陽キャでクラスのカースト上位がひよりに気づいた。


「おはよー!って、え?誰っ?」

「え、なに?激変なんですけど!!?」

「む、六浦さんだよね??」


 ひよりが髪型を変えて洗練された変わり様を見て、普段話しかけもしてこなかった3人がわらわらと集まってきた。


 説明しよう。

 ひよりは約1ヶ月前に由奈を一目見て好きになった。それまでのひよりは恋愛に興味がなく、自分を磨くこともしていなかった。地味陰キャと呼ばれる枠の中にいて、どちらかと言えば恋愛にキャッキャしている女子達を斜に構えて見ていた。


 そして由奈に出会ってひよりは変わろうとした。まず、いつもの美容室で髪を切り、朝はちゃんとブローをするようになった。体重は標準よりやや重めだったが勢いで5キロ落としていた。コスメもとりあえずネットで調べて、必要そうなものは一通り買いそろえた。


 そこへきて、由奈が通う美容室で大人っぽい髪型、そしてカラーを施し、眉毛もそろえてもらっていた。格段に違ったのは言うまでもなかった。


「あ、おはよう。赤羽さん、渋谷さん、大宮さん。。」コ、コワイ

 最強トリオは目を丸くしてひよりを観察した。


「え、ええ~?どうしちゃったの?変わりすぎじゃない?」

「ていうか、すっごい良くなったじゃん!!どうやってイメチェンしたの?」

「つーか、素材良くない??顔、良く見たらかわいいんだね~!」


 ひよりを見て驚いたのはこの3人だけではなかった。いつも一緒に居る戸田っちはおろか、全クラスメイト、別のクラスの子までがひよりの噂で持ちきりになった。


「や、、えっと。ちょっと恋をして、、変わらなきゃって思って・・・。良かったらコスメやファッションのこと、教えてもらえるとうれしいな?」

 モジモジとそうお願いしてくるかわいいのカプセルぴよりに3人は悶えた。


「か、かっわいい~!!」

「うんうん。これからたくさん話そうね??」

「なんなら今日、買い物とか行っちゃう??」


「あ、うん。うれしい!あ、戸田っちも一緒にいい?」

 ひよりが友人の戸田っちを一緒に連れて行きたいと言った。がしかし、戸田っちはどちらかというと大人しくて地味である。そして、ひよりにも内緒にしていたが、百合で育った百合好きだった。


「ん、え?あ、ええ!?わ、私はいいですっ!!どうぞみなさんだけでっ!!」

 慌てる戸田っち。ワタワタ‼アワワ‼


「ウケる。戸田さん、窓ガラスを拭くパントマイムしてる。上手~!」

「え、。し、してません、、」コ、コワイ

「戸田さんも一緒にイメチェンしよーよ。戸田さんも良く見たらかわいいじゃん。」

「そうだよ、めちゃくちゃかわいくしてあげるから行こう??」


「え、ええ・・・。」

 困惑しつつも、ちょっとかわいくなってみたい戸田っちがいた。何しろひよりが激変して底なしに可愛くなっている。

「じゃ、じゃあ、、い、いきます。。」


 こうして、最強トリオは後に部活かってくらい可愛い集団化していく。赤羽をリーダーとしてSNSで幅を広げ、最終的には1000人に膨れ上がる。


「最強トリオ」改め、「最強1000」。つってな。


 それはいつか別の物語で。


 続く。 

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