第29話 夢見る宇宙飛行士ぴより アポロアポロ‼

 なんだかんだと急速で愛を育んでいるが、出会ってやっと1週間の二人。

 楽しい楽しいスイーツバイキングのような週末がやってきた。アマスギルー‼


 金曜日、放課後のひよりは真っ先に職員室へ向かうと、ひよりの学力で受験できそうな大学を担任と絞り上げた。つい数日前にいきなり「受験しません!恋の試験に合格したから!」という宣言をひよりにされた担任は、涙を流して全力で相談に乗った。


 志望校をいくつかピックアップすると、今度は自宅へと走り出す。

「今の私、青春18切符の宣伝っぽくない?」

 そんな風に思いながら風を切るかわいいの塊、ぴよりん。

 山を飛び谷を越えた勢いで自宅に着くと、一目散で机に向かい、来週までの宿題を全て終わらせる秀才。いかれてるのは恋だけのようだ。


「終わった!さてと、あとは、、お母さんに受験するって報告して、由奈さんが勉強を教えてくれるから毎日由奈さんの家に行くって言って・・・。」


 いろいろやることが多いなと、結婚前の花嫁のごとく奮起していたが、実はひよりの母、陽菜子はすでに由奈から思惑を聞いていた。


「ひよりは初めての恋ですっかり浮かれています。それがとても可愛らしく思いますが、ひよりの将来を私が潰したくはありません。かといって、ひよりは意外と聞かない子です。そこで私は、家庭教師としてしっかり勉強を教えて、その上で恋というご褒美をあげながら、ひよりの成長を上手くサポートしたいと思っています。お母様と相談しながら。」


「お、お母様と…ですって…?私と…私と…?」


 まっすぐで綺麗な目をして、真剣にそう語ってくれた聖人、由奈に、陽菜子は6割方本気で恋をした。いっそ、六浦家に住んで欲しいと由奈に熱望したが、、上手い逃げ道が思いつかなかった由奈は、正直に「ひよりと二人きりが良いです。」とすがすがしく断った。それを聞いた陽菜子は由奈へのガチなラブを7割に増したという。


 陽菜子は考えた。恋のことになると誰も止められなかった姉の華恋。猟奇的と言っても過言ではない彼女を見る限り、今お付き合いをしている女性がしっかりしているからこそ、華恋はちゃんと生きている。きっと、妹のひよりも同じだろう。


「由奈さんと付き合えたことは、ひよりにとって生命線とも言えるわね。」

 全てを由奈さんに任せよう。もう同棲でも何でもしてください。行き着くとこまでやっちゃって構いませんと。母自ら、娘の貞操を由奈に委ねた。ちなみに父アキラは何も知る権利をもらえなかった。騒ぐから。


 ということは、当然喜んでいる由奈だった。

「ふふふ。びっくりした。卒業までひよりを本格的に抱くのは躊躇っていたけど、、まさかご家族から喜んでOKが出るとは。。本人だって前のめりでその気なんだ。もう、何もネックになることはない!」


 この週末。ある意味、終末となるだろう。私たち2人の禁断となるものはもうない!ねーぴより♡ アハハハハハー‼


 由奈は仕事中、エロしか考えていなかった。


 由奈の帰りを待つひよりは母親に話をすると、しっかり者の由奈さんに任せるから、学生としてそれなりにちゃんとしてくれれば十分だと、強く抱きしめてもらえた。寛容な母を作ったのは姉である振り切った恋愛観を持つ世界一甘い女、華恋だ。感謝しかない。


「お姉ちゃん。私、愛加さんのような素敵な恋人を見つけたよ。いつか、愛加さん、、ううん。愛加お義姉さんにも会わせてね。。」


 そう、北斗七星のある方角の空へと祈った。ロマンチストぴよりーにょ。


 ああ、しかし。運命とはどうしてもいたずらをしたがるものなのか。


 仕事から帰宅した由奈。

 ひよりに帰宅した旨をチャットで伝える。そして数分後にはひよりがやってきた。泣きながら。


「ぐすっ・・・由奈さん、、楽しみにしてたのに、、」

「そ、そっか。それは、うん、仕方ないよ。」

「うわーん!ものすごく楽しみにしてたのにぃぃぃ!!」

「あああ、泣かないで。。よしよし。また来週があるよ。っていうか、ずっと一緒だから。ね?」


 ひよひよ。月の使者がやってきていた。うっかりそれどころではなくて忘れていたのだった。カグヤヒメピヨリ


「で、でもほら。ひより、特技が二つあるから、、」*胸のみキスのみで宇宙へ行ける

「う、うん。だけど、、したかった。。スンスン」


 由奈は実は相当凹んでいたけど、表に出せるわけがなかった。。


(や、やりてー・・・。)


 思春期の男子のような脳みそ、由奈(25)

一週間、お預けを食らう。



 続く。




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ふははは、ざまぁみろ!

葉っぱの手の内だ!!

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