前回のミカンちゃん小話
大阪の人は本当に自転車に乗ってることが多い。
それが生まれ育った熱海市から、小学1年の途中で引越しして来た私が最初に思ったことだった。
当たり前だけど、潮の臭いも硫黄の臭いもしない。
大阪は地形的にも坂が少ない平野だからだろう。
でも、私の時代だと、自転車に乗ってる女子は……少なかったような印象がある。
前回の序盤にちょろっと書いた同級生のミカンちゃんこと羽田木ミカさんとは、実は私と通ってる学校が違ってた。
私の一家は、大阪に引越して来た時、私が小1〜小3の途中までの間は、A市に住んでいた。
次いでお隣のB市に引っ越したという事情があった。
ミカンちゃんとはA市に住んでた頃の同級生なのだった。
引越して、学校も変わったと云っても、距離的には近い。
普段利用していた最寄り駅すら変わってなかった。
なので、私が転校後も暫くは前の学校での仲が良い同級生たちと遊んでいた。
ただ、ミカンだけは中学2年の半ばまで度々遊びに現れるのだった。
途中、自転車を買って貰ってまで。
私には当時、変な思い込みがあった。
コンプレックスの塊のような女子も性格的に難があるが、対象的に「「べっぴんさんやね」なんて周囲にチヤホヤされ育ったような女子もヤバいのではないか? と。
それが単に偏見に過ぎないと知ることになったのは、引越し後の小3の途中から同じマンションに住んでいた同級生の仁島チヒロさん知ってからだった。
仁島さんは如何にもチヤホヤされて育った感があったものの、成績も良かったし、真面目だし典型的な良い子で、アバズレミカンとは大違いで当時少し驚いた。
ミカンは少しアンポンタンで、私がいつでも逃げ出せる用意をしていたくらいグイグイと積極に来る感じだった。
もう小3の頃から既にませており、手近な男子に直ぐ「好き」と言ったりしていた。
多分、私はアバズレにとってはキープされてる1人に過ぎなかったと思う。
本命と喧嘩したりすると、私のところへとやって来る的な。
結果を言うと、仁島さんは中2の半ばには転校してしまい、またミカンも同じ頃から、遊びに来なくなってしまった。
別にミカンと喧嘩をしたというわけでもない。
おそらく本命との関係が上手く行くようになったとか、ゾッコンラブ(死語?)な男子が出来たというところだと思われる。
そうして、私は……すっかりオサビシ山の厨二時代を過ごすことになったのである。
今思うと、ミカンは確かに男癖が悪そうだが(私には美人で男癖の悪い叔母が居るので、そんな様子を昔から見ていた)
良く言えば天真爛漫だったんじゃないかと。
私は仁島さんの方が断然好きだったけど、物語のキャラにすると、仁島さんて案外魅力が出なくて、ミカンの方が魅力的になる不思議……。
ミカンちゃんに変な癖があったことを書いて終わりにしたい。
学校から帰って来て、宿題をやろうとすると、ランドセルの中からミカンのノートが出て来たということがあった。
最初は、私がボケてて、ミカンのノートを持って帰ってしまったのかと思ったが、いやアンでポンタンなミカンなんかからノート借りたりするわけがない。
借りるとしても、もっと成績の良い人にするだろうし……。そもそも小学生の頃、ノート借りてまで勉強なんかしてなかった。
私のランドセルから出て来るミカンのノートは、ある時は社会科のノートだったり、国語のノートだったりと多岐に渡った。
勿論、学校が変わるとそういうのも無くなったが。
当時、私もそんな気にしてもなかった。
気付くのが早ければ、夕方にはミカンの家まで返しに行くし、もしくは翌日学校で返すだけだし。
何でそんなことをしてたのか? と結局聴きそびれてしまった。
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