アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (4)
どうやら、この「鬼」がやったのは、派手過ぎる陽動で、雑居ビルの生き残りを確保すんのが目的だったらしい。
「え……えっと、
「了解」
レンジャー隊の
「ん?」
「うわっ‼」
河童どもがベルトポーチからカードのようなモノを取り出して相棒に向けて……そのカードから「使い魔」らしいのが飛び出すが……。
この手のモノは生きてる何かに取り憑いてない限り、物理的な実体が有るモノを認識出来ない。
言わば実体が無い魔法的・心霊的な
喩えるなら「姿は見えてるが、輪郭がボヤけてる」「音はするのに、あっちこっちで反響してて、音が出てる場所を特定しにくい」みたいな感じだ。
そのせいで、河童どもは相棒を狙ったようだけど……使い魔どもは相棒を素通りして、こっちを狙ってきた。
使い魔は3匹。
蛇みたいなの。人魂みたいなの。4本足の動物が布を被ったようなの。
と言っても……これも「気配」をあたしの脳が変換してるだけだが……。
何と言うか……土俗的な妖怪絵みたいな感じだ。多分、民間信仰系の呪術で呼び出されたモノなんだろう。
「吽ッ‼」
十分に「気」を練る時間も無いまま、牽制の「気弾」。
妖怪っぽい使い魔どもは、一瞬止まり……。
「オン・バサラ・クシャ・アランジャ・ウン・ソワカ」
今度は本気の一撃。それで3匹の使い魔は消滅。
相棒は……わざと河童の1匹を逃してるようだ。
残り2匹は気絶。
その1匹の「気」を探る。
魔法とか呪術とか心霊系とか訓練は……多少はしているようだけど……せいぜい「誰か別の奴が作った呪符の効力を発動させる」ぐらいが関の山だろう。
『水虎の行き先にバンが1台待っている模様』
後方支援チームから連絡が入る。
『応援は誰で、何分後に到着だ?』
『早太郎、ミラージュ、小坊主。5分以内に到着する確率は九〇%以上。最悪でも一〇分は無い』
『
「おい、待て……あと5分ぐらい……あれを、あたし1人で相手すんのか?」
『応援が来たら対処出来るか?』
「え……えっと……ギリギリ……かな?」
『それまで持ち堪えろ。信用してるぞ、相棒』
「ふざけんな」
謎の「鬼」は……とんでもない邪気を放ちながら、ゆっくりと歩き出し……。
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