第17話・外伝・胃を痛める人達
冒険者組合の会議室にて、数多の幹部が胃を痛めながらとある議題について口論していた。
「推定難易度最上位級7で起きた風鈴窟における、一連の事件と天略様においての対応と出現した精霊王の結晶に対して議論を行う」
「議論する必要なんてないでしょ。天略とは非公式で不可侵略条約を結んでいるし、関わらない触らない接しないで終わりですよ」
「とはいえ、出てきた物が物だ。
精霊王の結晶。あの炎の邪精霊王が起こした。地獄業火の1週間において、Sランク冒険者3名とAランク冒険者43名Bランク冒険者230名の協力と数多の犠牲を出して討伐を成功させて手に入れた貴重という言葉が霞む程の戦利品、それが精霊王の結晶だぞ。
そしてその力、効力、価値は忌々しい天略よりも私達の方が詳しい、そうだろ」
「ああ。そうだな。アレの本当の価値を考えれば、文字通り世界が戦争をしてでも欲しがる代物だ。
値段なんてのは付けようがない、数兆円。ハハハハハ、馬鹿を言ったらいけない。たったその程度の金額で手に入るのならばどんな国でも、個人ですらも喜んでお金を払うだろう。
最低でも数百兆円。それですらも安いと断言できる」
「ああ。そうじゃな。儂も同意見じゃ。だから提案なのじゃが天略様に交渉をしてみないか?
対価は100兆円と冒険者組合で保管している神器1点じゃ」
「もしかしたら受け入れてくれるかもしれないが。・・・まあ無理だな」
「儂もそう思うのじゃ。明らかに価値が釣り合っておらぬ。
それにもう既に精霊王の結晶はリミエル殿に吸収されている可能性が高いしのう」
「よりにもよって吸収するのがリミエル殿か・・・。リミエル殿は我が国の事を嫌っておるからのう」
「まあ、あんな事件があったし無理もないわね」
「そうじゃな・・・。それにしても新しい神覚者候補の出現か・・・。これは色々と荒れそうじゃな」
「でも、案外荒れない可能性ないっすか?だって、リミエル殿の側にはあの天略様がいるんですよ。
下手な上位存在だと話しかけることすら出来ないですよ」
「それもうそうじゃな」
「でもでも、私思うの。リミエルちゃんが神覚者候補になったら天略様が力を貸して本当の神覚者にしちゃうんじゃないかなって?」
「確かに、その可能性は大いにあるな」
「そうなったら、我が国で新しい神覚者の誕生か・・・」
「一切制御出来ず、敵意を持ってる可能性の高い神覚者の誕生やな」
「神覚者って冗談抜きで国一つ潰せる存在だからな・・・」
「それを言い出したら、天略様だって神覚者だからな」
「一応、天略様とは同盟を結んで良好な関係を築けているし」
「良好な関係(不平等な関係)な」
「クソ、本当に詰んでいるような気がする」
「まあ、そうじゃのう。嗚呼、本当に胃が痛いのう」
「やめてください。意識しないようにしてたのにそういうことを言うの」
「それでも俺らはこの国の、引いては世界の為にどうにか対策を立てて平和を維持しなければならない。
ここは一つ、従来通り完全協力の姿勢を強化しつつ、少しでもリミエル殿の心証が良くなるような政策を行うように国に要請しようではないか」
「まあ、それもそうなんだが、悲しいことにこの国はちょいちょい腐ってるからな。相当にお金も人もかかるぞ」
「知っておる。まあ、許容するしかないな」
「まあ、最悪俺の手の者に暗殺させるっていう手もあるから最悪それで行こうか?」
「最悪そうするとするか。正直あの屑どもを天略が殺していないのってマジで意味が分からないよな」
「いやいや偶に殺してだろ。一線超えたバカ息子の為に更に馬鹿やった結果起きた、業火のハロウィン事件を忘れたとは言わせんぞ」
「ああ、そういえばあったな。それ以外にも鮮血の国会議事堂事件とか、地獄拷問の生中継事件とか・・・う、頭が胃が体が痛い」
「あの時の後始末は大変だったな。いや、マジで」
天略によって起きた数々の事件とその後始末を思い返しながら、皆何処か遠い目をして、虚無に沈む。
かくして胃の痛みに耐えながらも彼らは報告書と対処案の作成及び実施の為に行動を移すのだった。
―――――――――――――――
主人公がどんな風に事件を起こしたのか、何をやらかしてるのか色々な過去編はこれからだすつもりではいます。
更新もするつもりではいます・・・。ごめんなさい。
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