第17話 ダンスはいかが?
あっという間に舞踏会当日がやって来た。昼は、公妃生誕祭で街中が活気にあふれ、その昼食会に正装で参列したあと手配された侍女が支度のために呼びに来てくれた。
「お嬢様、舞踏会の支度がございますので、離宮へ戻るお時間です。」
「ありがとう。もうそんな時間なのね。」
「はい。」
離宮に戻ると、入浴の準備が整い肌の手入れまで始まったた。そんな状況に慣れてない私は、かなり疲れて舞踏会まで体力が持つのか心配になったほどだが、肌がつるつるになっていくのを感じて途中から、かなりご満悦な状態になった。
「本当に、肌が透けるほど白くて、素晴らしいですわ。お嬢様…。」
「あ…。ありがとう。そんな風に言われるの初めてだから照れるわ…。」
こんな会話をしながら、準備はどんどん進んでいく。公爵が選んだドレスが運び込まれ、私がコルセットを絞められていた時だった。頭の中で何かが聞こえる…・
「おいっっ!!これは、どういうことだ。私が舞踏会へ行かせるはずだ!!」
「そう、言われてもね…。公爵が侍女とかまですべて手配しているのに断れないじゃない…。とにかく。現れないでよ!!みんな驚くでしょ。確か…、この国の人は、魔力があるから、魔王が見えるんでしょ?お願いだからそっとしておいて。」
「むうう。わかった。それなら、靴だけは、私が用意したものを履け!!いいな。」
「わかったわ。それくらいなら。言えるわ。」
準備が整い、ダニエルをパートナーとして、入場した。
「ねえ。ダニエル。なんだか…、すごく注目されている気がするんだけど?気のせいかしら?」
「いいえ。多分。瞳が語っているのかと…。」
「あ…。それか~。ロバート叔父様も来てるよ?」
「ええ。焦っているかと。」
「そうよね。厄介ね。」
「仕方ございません。さ、ダンスが始まります。一曲踊りますか?」
「ええ。ダニエル。下手だけど…よろしく。」
そう言って、ダニエルの手を取って。頭を下げて、お辞儀をしようとした時だった。
「レディ。私と踊っていただけませんか?」
銀色に輝く長髪を後ろでまとめた紳士が、私のもとへやってきた。ダニエルは、コクリと頷いて、私の手を紳士の方へと促す。
「でも、ダニエル。」
「お嬢様…。さあ、私より殿方と…。」
ダニエルに勧められ、手を紳士の方へ差出しダンスが始まった。紳士は、ダンスホール中央まで私を誘い優雅にリードしてダンスする。
「私、舞踏会は、初めてなの…。上手く踊れるか分かりません。」
「大丈夫ですよ。」
紳士は、優しく微笑み、頷いて踊りを続ける。紫色の瞳がとても綺麗で吸い込まれそうになりながら紳士の顔を見つめ返して、うっとりとしてしまう。
「私の顔に何かついていますか?」
「いいえ。とても、素敵な瞳だと思って。」
「貴方の瞳の方が綺麗ですよ。シンデレラ嬢。」
「私の名前をどうして?知っているの?」
「瞳の色で。」
「あ…。じゃあ、貴方のお名前を聞いてもよろしくて?」
「ええ。ルドルフ・ミュラー・レリアン。」
「???。もしかして。王子様?」
クスクスと紳士は、笑ってコクリと頷いた時、一曲目の音楽が終わりを告げた。
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