学校祭

 学校祭は、一大いちだいイベントで。


 創立記念日として、

 外部からの来客も許され、

 祝日に開催された。


 バザーでの売り上げは、すべて途上国の子ども達に寄付されて。

 恵まれない子ども達が、教育を受けられるようにするために使われるんだって。


 収益が競われることはなかったけど。

 例年、かなりの額が集まったらしい。


 中学部の1年生は、

 初めての学校祭だから、という理由で、

 中学部の生徒会の催しを手伝うことになっている。

 自分達でお店を出せるようになるのは2年生になってから、

 と思ってたら、実は、

 収益のあるお店を出したり、食品を扱えるのは高等部のみ、

 というルールがあって。

 それを知ったのは、2年生になってからだったのだけれど。

 この学校の中学生には、いろいろと制約があったのだ。

 高等部の人達には逆らえないように?

 なんてウワサもあったかな? 


 そんな中、

 普段は高等部の生徒会が中心に動いているから、

 目立つことのない中学部の生徒会も、

 この時ばかりは、独立したとして活躍しているようだった。


 生徒会ってことで、

 この人達は、先輩と話す機会もあるのかなぁ、

 なんて、ちょっとうらやましくなりながらも。

 実際は、

 中学部の生徒会と高等部の生徒会が合同で何かをすることなんてほとんどないから、

 先輩とは直接喋ったことはなかったらしい。


 学校祭当日、先輩が、わたし達のいる中学部生徒会のテントを訪れた時、

 中学部の生徒会長は、わたし以上に緊張していたものね。

 驚いたわ。

 

 先輩に話しかけらるという名誉を、あんなふうに無下にするなんて。

 貴重な機会を、さらりと、何でもないものにしてしまうなんて。


 わたしだったら、

 わたしだったら……


 先輩に声を掛けられたら、なんて答えるのだろう?









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