第1章エピローグ

「おはよう!」

「おはよう! って、昨日なにがあった!?」


 今日はソラちゃんと登校する為に、一旦ココロちゃんの家に行くことになっていた。

 私は軽く挨拶をしたんだけど、すぐに焦ったようにココロちゃんは言った。


「ソラちゃんと遊んだ!」


 私は歩きながらココロちゃんと話す。

 ちなみにいつもより早く出たから、苺ジャムを塗ったトーストをくわえて来た。


 話しにくいから、今は手に持って食べながら話すことにしよう。

 ちなみにここに来るまでに電柱に頭をぶつけた。


「ネット見てないのか!? って私も昨日は忙しくて見れなかったけど……とにかく大変なんだ! 動画もアップされてる!」


 ココロちゃんは教えてくれた。

 なんと、ネット上のダンジョン探索者界隈で私のことが話題になってるようだ。


「どのくらい盛り上がってるの?」


「どれくらいって……そうだな。大人気ってほどでもない、そこそこ有名な新発売のゲームで大型アップデートされた時くらいかな?」


「それってどのくらい? 私ネットもやらないし、友達もココロちゃんとソラちゃんしかいないから分からないよ」


 って、それじゃあ例えようがないね。


「ごめんごめん」

「別にいいけど、それよりもだ。これからダンジョン探索する時は気を付けた方がいいぞ」

「どうして?」


「どうしてって、スカウトが来るからだよ! ルカは強いし、それに話題性もある! 再生回数を稼いだり投げ銭をしたり、とにかく利用しようとする人達がルカを狙ってくる!」


 そんなにかな?

 さっき人とすれ違っても別にこっち見られなかったし。


「とにかく、ダンジョン探索者には要注意だ! 後、知らない人には付いて行っちゃ駄目だぞ!」

「分かってるよ! 大丈夫!」

「心配だなぁ……」


 もう! いくら私が5教科合計120点の実力者だからって、甘く見過ぎだよ!

 でも、実際にココロちゃんは私より賢いんだよねぇ、5教科480点だったっけ?


 中々やるね! 

 友達だけど、思い出しただけでライバル視しちゃうよ!


 でも……。


「心配してくれてありがとう!」

「おう」


 そして、ソラちゃんの家に到着!

 今日は3人での登校だ。


「ソラちゃーん!」

「お、おはようございます!」


 ソラちゃんが家から出てきて、私達と一緒に歩き始める。


 緊張してる。

 昨日はそうでも無かったのに。


 でも、仕方ない!

 だって、今日はソラちゃんの転校初日だからね!


「ルカさん、ネット上で噂になってますよ」

「そうみたいだね。ココロちゃんに聞いたよ」

「どうしましょう……」

「どうしよう……」


 身バレ怖い……ってあれ?


「私もう身バレ気にする必要ないじゃん!」


 もう顔もバレちゃってるみたいだしね。


「そ、そうですけど、怖くないんですか!?」

「まぁ、もうどうにもならないしね!」


 何事もプラスに考えていこう! うん!

 人生1度きりだし、今楽しいことが大事だよね!


 1日1日を大切に、楽しく生きるのが私だ!


「私、最初の約束通り、ソラちゃんのお手伝いをしようと思う!

 確か、チャンネル登録者数? だっけ……それを伸ばしたいんだったよね!

 だったら、今の私が役に立つと思うな!」


「そういえば最初は私、ルカさんとコラボしたいって言っていましたよね……そうでしたよね! 私も覚悟決めました! 私もこれからは堂々と配信します!」


 ソラちゃんは突然元気になったようで、空を見ながら自分の右手をギュッとした。


「おいおい、危ないだろ……ってルカはもう顔もバレてるし、近くにいたソラもバレるのは時間の問題か……だったら、私も一緒にいいか? ダンジョン内ではルカには及ばないけど、ダンジョン外でのボディーガードには役立つと思うぜ!」


 確かに!

 ココロちゃんはナイフを持った男10人に素手で勝つくらい強いからね。


 ソラちゃんがビックリしちゃうし、ココロちゃんも恥ずかしがるから、私の口からは言わないけど。


「勿論です! 心強いです! お2人共、ありがとうございます!」


 そして学校に到着した。

 ダンジョン探索者はやっぱり私の通う学校にもいるみたいで、チラッと見て来る人とか、結構いた。


 ソラちゃんは残念だけど、違うクラスだった。

 それはそうだよね。


 同じクラスだったら、事前に知らされてるだろうし。


 そして、時は流れ昼休みに突入した。

 青春系のアニメみたいに、昼休みは3人揃って屋上で食べたいな。


 まぁ、屋上は閉まってるんだけどね。

 ダンジョン外でもスキルや魔法が使えれば、屋上にも入れるけど、無理だから仕方がないね。


 ということでやって来たのが……体育館の裏でーす!


「「「いただきまーす!」」」


 3人揃って、体育館裏で食べようということになった。

 私はお弁当、お母さんが作ってくれた。


 感謝!


 ソラちゃんはコンビニのおにぎり1個、お腹空かないの!?


 ココロちゃんは……えっ!?


「ソラが転校してくる日だからな、気合入れて作った。食べてくれ」


 重箱に色々なおかずが入っている。

 どれも美味しそうだ!


「それって私も食べていい系?」

「勿論だ!」

「やったー! 卵焼き貰うね!」


 もぐもぐ、美味しい!

 ココロちゃんは料理も上手なんだよね。


 私はソラちゃんに割り箸を渡す。


「なんで余分に箸持ってるんだよ」

「いざという時の為に!」


 ココロちゃんも割り箸を取り出そうとしていたみたいだったけど、私の方が少し早かったみたい。


「結構食べるじゃん!」

「すみません、美味しくて、つい」

「どんどん食べてくれ!」


 ココロちゃんがツッコミを入れた通り、最初は遠慮がちだったけど、次々とおかずを口に入れていった。

 実はダイエットしてるって言ってたけど、痩せてるし、必要ないと思う。


 けど、ソラちゃんは配信者だし、気になっちゃうのかな?



 放課後、昼休みに2人と話して、最終的に軽い自己紹介動画を撮ろうということになった。

 撮影場所はダンジョン内部だ。


 この前3人で来たダンジョンで撮影することになった。

 丁度いい平らな岩を机代わりにして、そこにスマホを置く。


 緊張するね!


「どうも! 龍剣術師りゅうけんじゅつしチャンネルです!」


 今の動画をアップロードしようと考えているチャンネルは、私達3人のチャンネルだ。

 ソラちゃんのチャンネルでいいんじゃない? って思ったけど、どうせならグループ用のチャンネルも作らないかということだった。


 私は私で自分のチャンネルも作ろうと思う。

 個人で配信する時、必要になるってソラちゃん言ってたしね!


 ちなみにチャンネル名は龍が私で、剣が【剣聖】のココロちゃん。

 術師は、【錬金術師】のソラちゃんから取ったよ。


「自己紹介するよ! 私は破壊龍ちゃんって言います! 趣味はアニメ鑑賞! 後勿論ダンジョン探索も!」


 ちなみに破壊龍ちゃんっていうのは、ネットでの私のあだ名みたいなものらしい。

 考える手間が省けて良かったね!


「私は“青メッシュ”だ! スキルは【剣聖】だ。よろしくな!」


 青メッシュ……シンプル!

 けど、分かりやすくていいってココロちゃんが言ってた!


「最後に……えーと、底辺Utuberとして前から活動していました。ご存じの方もいると思いますが……えーと、“ミラクル”です」


 ミラクル……つまり奇跡を起こせるようなアイテムを作りたくて、こういう名前にしたんだって!

 かっこいいね!


「これから活動していくから、個別チャンネルも合わせてよろしくね!

 そして、私達をこれからも応援してくれるって思ったそこのあなた!」


 そして最後に……決めセリフの準備!


 全員で行くよ!


 私達は互いに顔を見合わせると、決めポーズを決める。


 私はがおーっ!って感じで怪獣感を出すポーズを!


 ココロちゃんは、剣を取り出し、肩の上に乗せる!


 ソラちゃんはポーション入りの瓶を片目を閉じて、振りながら見つめる!


「「「せーのっ!」」」


 最後に全員揃ってカメラに一言!





「「「チャンネル登録と、高評価、よろしくお願いします!!!」」」





「はい、カット! いいよ! なんだか楽しくなって来たよ!」


 ここからが本当のスタートだね!

 これからは堂々とダンジョン探索できる!


「そうですね! 私達のダンジョン探索活動をエロゲに例えますと、この辺りでOPですね!」

「「エロゲ!?」」


 ソラちゃんエッチなゲームやってたの!?


「いやいやいや! ち、違います! ただの例えです! や、やってないですよ!? ストーリー目当てなだけで、エッチなシーンは見てませんよ!? ……やってないですよ!?」


 誤解だったみたいだね、良かった!


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

あとがき


当作品を閲覧いただき、ありがとうございます。

もしよろしければ、お好きなタイミングで評価していただけますと、幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る