5.ダンジョン配信者
ダンジョンでゴーレムを無事倒した後、私とココロちゃんは、ソラちゃんの家に向かうのであった。
「悪いな!」
ココロちゃんが申し訳無さそうに、けども軽く、ソラちゃんに言った。
「いえ! むしろ家には滅多に人が来ないので、来てくれて感謝ですよ」
集まろうって言ったのは、ココロちゃんだったんだけど、ソラちゃんが「だったら私の家に来ませんか?」と誘ってくれたのだ。
今はソラちゃんの家に向って、お喋りをしながら、3人で歩いている所だ。
「それにしても、ソラは凄いな!」
「え? なにがですか?」
ココロちゃんが「うんうん」と頷いている。
なんのことだろう?
「約1年前から配信をしてたってことは、それだけ配信に情熱を注いでいるってことだよな!」
そういうことか!
ソラちゃんは同じ学校、そして私達の学校は中学2年生にならないとダンジョンに入ってはならないと、校則で決まっている。
それを破ってまで配信をしているとなると、確かに並々ならぬ情熱だ。
「あー、それはですね。実は私、前の学校からの転校生でして……」
「転校!?」
前の学校では校則違反じゃなかったんだね。
だとしても、13歳になってすぐにダンジョンに入ろうと思ったのは凄い!
「そうなのか!? 転校生がいるなんて、聞いてなかったけどな」
「私も初耳~」
すると、ソラちゃんは私達から目を逸らす。
「えーとですね……実は登校は月曜日からなんですよね。ちょっと、事情があって、遅れてしまいまして……」
「そうなんだ! 同じクラスになれるといいね!」
折角だし、同じクラスだったら楽しいだろうな。
趣味も合いそうだし! というか、ダンジョン探索している者同士、趣味は合うよね。
私も、ダンジョン攻略は、アニメと同じくらい楽しめそうな趣味になりそうだし。
「だな! 同じクラスになったら、休み時間も話せるしな! まぁ、違うクラスでも大丈夫だけどな!」
とその時、少し緊張気味? な表情でソラちゃんが口を開いた。
「あ、あの、よ、よろしければ、月曜日、一緒に登校して、くれませんか?」
緊張しているのかな?
確かに、転校して初日は緊張するよね。
私は転校したことないけど。
「と、遠回りになってしまうのでしたら、別に大丈夫ですけど!」
ソラちゃんは遠慮気味にそう言ったけど、別に全然嫌じゃない。
だって、転校生と一緒に登校ってアニメとかでありそうな展開だし!
「私はいいよ! ココロちゃんは?」
「私かぁー、どうしよっかなー」
私もだけど、ココロちゃんも無理して誰かに合わせるタイプじゃないから、迷ってるのかな?
「す、すみません!」
「いや、別に嫌だとかじゃないんだが……私はヤンキーだからな! 初日から一緒だと引かれるかもしれねぇ」
なるほど、それを気にしていたのか。
ココロちゃんは、優しいんだけど、ヤンキーを自称し、それっぽく振舞っている。
目つきや髪色に関して昔は気にしていたみたいだけど、今は自称ヤンキーとして気に入っているみたい。
私としては、ヤンキーにならなくても、かっこいいし、かわいいと思うんだけどなぁ。
「や、ヤンキーなんですか!?」
「まぁな! だから友達とか、できにくくなるかもしれないな」
そうかな?
「私そういうの気にしないので、大丈夫ですよ! それに、前の学校でも友達少なかったですから……ね」
私と一緒だ!
「私も友達少ないよ!」
そう、私はいつも趣味に夢中になるあまり、友達が少ないんだよね。
休み時間も暇があれば、アニメのことばっかり考えてるし。
挨拶する友達はいるんだけど、こうやってお話できる友達は、ココロちゃんだけだからね。
今日、ソラちゃんとも仲良くなれるといいな。
「そ、そうなんですか?」
「うん!」
「私の為に気をつかってくれなくてもいいんですよ?」
事実なんだけど、ま、いっか。
☆
「おじゃましまーす」
私達は靴を脱ぎ、ソラちゃんの家へとおじゃまする。
そうすると、ソラちゃんのお母さんがお出迎えしてくれた。
「お母さん、えーと、今から友達と遊ぶから」
「と、友達……!?」
ソラちゃんのお母さんに、驚かれた後、なぜか感謝された。
おじゃまするのはこっちなのに。
そして、ソラちゃんの部屋に案内されたんだけど……凄い!
「ゲームが沢山ある!」
「漫画もあるぞ!」
理想の部屋だよ、これは。
最新のゲーム機もあるし、最高過ぎる。
「お菓子もありますよ」
「サンキュー! この借りは必ず返す! いただきます!」
ココロちゃんはそう言うと、ソラちゃんが用意したお菓子の中から、ポテチを食べる。
「あの、お二人共、改めまして、ありがとうございました!」
「いいのいいの! 私もたまたま強い魔法少女になれただけだからね! もし弱かったらあんなに動けなかったよ!」
そう! 私が変身した姿は凄く強そうでかっこいい!
ココロちゃんがスマホで撮影したのを見せて貰ったけど、漆黒の体に紫色の目が、自分で言うのもなんだけど、かっこよかったよ!
デフォルメされている感じでもなく、完全なるモンスターだったけどね!
まぁ、可愛い系の魔法少女もいいけど、こういうかっこいい魔法少女もいいよね?
モンスターじゃなくて、一応魔法少女ね!
「それにしても、ソラちゃんはあそこでなにをしていたの?」
「配信ですよ! 配信!」
えーと……確か、ピカキンさんとかみたいな感じだね。
確かゲームプレイとか、色々やるんだよね?
うん、私、相変わらずアニメ以外の知識は弱い。
それにしても、ソラちゃんは、なんの配信をしていたんだろう?
「ダンジョン配信です!」
「ダンジョン配信って、ダンジョン内で配信するって意味でOK?」
「OKです! 実は、私ポーションを作る配信をしていたのですが……」
ソラちゃんは今回の出来事を、私達に説明してくれた。
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