第4話 二国同盟
私達は共和国の成立支持と、二国同盟を結ぶ為にペンドルトン聖教国へ入国した。現在は、二国間の国交断絶をしている為に、リュミエール王国側の国境警備は厳しかったんだけど、私の〚拒絶〛の前では警備は無意味だった。
ペンドルトン聖教国側の警備は、聖女と言われていたお祖母様を確認すると、最敬礼しながら通してくれた。
聖教国へ入国して、1週間程の馬車移動で聖都にある法皇庁へと到着した。
庁舎前ではリュミエール王国の元宰相ヴィスマルクが出迎えて、庁舎内の来賓室へ案内された。
お祖母様と移動する私を見たヴィスマルクは、驚いた顔をしながら思わず声が漏れた。
「少女の頃のサツキ様そのものだ……」
「ヴィスマルク、驚くのは判るけどこの子は孫のサツキで別人なのよ?」
「メルヴェイユ樣…判ってますが……」
ヴィスマルクは目頭を押さえながら声を詰まらせながら答えるのがやっとだった。
私達が少し休憩をした後は、ヴィスマルクや大司教を交えて王国の現状や、離反して共和国を成立する経緯等を説明したの。
聖教国は私達が説明した内容を精査した結果。
ヴィスマルクと大司教は、私達と法皇様との謁見を認めてくれたの。大聖堂での法皇謁見が決まったけど、日時は改めて報告するとの事なので、私達はそのまま来賓室で滞在する事になったの。
「なんか、法皇様に謁見とか緊張する……」
「大丈夫よ、法皇様は私の父でサツキの曾祖父様に当たる方だから、きっと孫達に会うのを楽しみにしてると思うわよ。」
「曾祖父だったの?全然知らなかったよ!」
まさか私が法皇様の曾孫だった事に驚いたの。
そして翌日、法皇様との謁見の為に大聖堂にある謁見の間へ招かれたの。そこには法皇様と聖教国の枢機院の代表者達が居て、とても穏やかな雰囲気で懇談をしたの。
法皇様は、私達の意見を支持してマルグリット共和国成立を認めて下さった。更に聖教国と共和国の間で二国同盟を結ぶ事も認められたので同盟を締結したの。
「さぁ、堅い話しはここまでにしよう。久しぶりに再開した娘との時間を楽しみたいんだ。」
こうして政治の話しは終わって、法皇では無く家族として話しをする事になったの。
➖➖➖ヴィスマルク視点➖➖➖
私はメルヴェイユ様とリュミエール王国へと渡った。二国間の橋渡しの為に聖女を渡す聖教国に反感は有ったが、法皇の命令には背く事は教義上許されない。それ以降はメルヴェイユ様と王国の為に尽力すると心に決めていた。
そんな時に私はレンドルドの至宝サツキ様に出会った。サツキ様は筆頭侯爵家へと嫁がれる為に来たが、国に馴染む迄の間をメルヴェイユ様と過ごされたのだ。
その美しさと明晰さに心を奪われたが、叶わぬ想いを胸に秘め彼女だけを愛し続けた。
今、私の目の前に愛したサツキ様とうり二つの孫であるサツキ様が居る。その美しさと明晰は本人その者だった…私はサツキ様の為に残りの人生を捧げると誓った。
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