屋敷の生活を楽しむはずが⋯⋯

 こちらの世界に来て新しい生活が始まろうとしている


 そう屋敷での生活だ!遂に一人部屋を手にいれたのだ


 まあベリルが寝るときは寝に来るが全然違うぞ


最近は人や魔物が増え賑やかの一言だったが俺はどちらかといえば静かに過ごすことが多かったのだ


記憶を取り戻したことでしたいことも増えてしまった。時間が足らないぞ


時間が足らない理由のひとつに料理の研究があり、バティンとラバル、朱莉、夏樹俺の4人が担当することになった。


 地球の料理の味の方がこの世界と精霊界よりは旨いらしいのはバティンと朱莉が教えてくれた。ラバルはいち早く旨いものを食べたいからと立候補してきた


アバリムは料理を作るのは興味が向かないとのことで来ない。⋯⋯というのは建前で味音痴でラバルに止められているそうだ。 


 レオナは不器用魔術師の一言で普通に作っていると、キッチンを吹き飛ばしかけたので出入り禁止となった。


そして、料理再現ができるのは俺のスキルによって判明している。


 記憶が戻ったことでジョブチェンジのレベルが3になり、地球の職業にも転職可能になったのだ。


 あくまでも素材が代用なので多くは量産できないが、この世界と精霊界の素材を使うことで様々な物を作れるのも可能となった。


バティンと朱莉は器用で覚えもよくすぐ吸収し、熱心に料理を覚えていく。


精霊界の素材はバティンが取ってきてくれる。


ルシファーは精霊界に帰りたがらないので、同じくパイモンも帰ることは可能なのだがルシファーがいるため面倒くさがるというか基本動こうとしない。

ラバル、アバリムは自分で精霊界に帰ることはできないとのこと。


 まあ皇帝に、王様3人が忙しく動くのも違和感しかないけど⋯⋯大公爵でも問題がありそうだがバティンは全然気にしていない。


 他にもバティンは薬草と宝石などの知識が凄く回復薬や万能薬などの精製に抜きん出ている。


バティンは工房ギルドに入会し、薬を作りジュデイとドラムスを唸らせ、下級の薬の販売を商人ギルドに話を持っていけたのは家賃問題の要になるかもしれないので多いに助かる。


月1の受注生産もまかなえる。



 ひとつ問題があるのは風呂時間なんだが⋯⋯いつもルシファー、パイモンが要るため、バティン、アバリム、ラバルが一緒に入ってくるのがとても目に毒だ。タオルを纏ってはいるが危険な匂いがする。


 俺1人で狙って入ってるとベリル、ルシファーが入ってくるのだ。


 ベリルは風呂が好きで洗うのもとても好んでくれていいんだけど、洗うというより、ベリルの鱗は宝石を磨いているって感じだな。

ツルツルでスベスベしてる。反射してちょっぴりまぶしい。


ルシファーが入ると必ずパイモン入ってくる。パイモンとバティンはルシファーの世話をしようとするし、アバリム、ラバルがパイモンの世話をしようとするために入ってくるので風呂はゆっくりとできないので少し悲しい⋯⋯


 ちなみにレオナは風呂というかお湯を嫌うため朱莉と一緒に入って強制的に洗って貰っている。風呂の外にいつも声が届くくらいだ。


 そうそう庭に馬屋も建てたのだ。


 


 バティンの乗っている蒼い馬『ホーヴヴァルプニル』の為の馬屋である。木材は朱のダンジョンから調達したウッドゴーレム。


柵はクローム鉱山で銅鉱石が出たのでそれを使用した。


 ホーヴヴァルプニルは基本的に餌は食べずほぼ食費はかからないが水とリイゴは好む為与えている。とても賢く、凛々しい。


魔物の毛で作ったブラシを用意したのでバティンが喜んで時間があればブラッシングをするのをみかける。


 パイモンとは対象的にバティンは休んでる時間あるのかな?


 そういえば朱のダンジョンが封鎖が解除されたっていうのを冒険者ギルドから聞いた。また素材調達のチャンスだから行こうかな。


 ブロンズカードを見ながら裏側を見て思い出す。


 そういえば冒険者ギルドでの活動をしないと2ヶ月で除名処分になるんだった!




◇◆◇◆◇◆



 急いでルシファー、レオナを連れて冒険者ギルドに向かってクエストボードを確認する。ベリルと朱莉は屋敷でお留守番だ。


 鉱石の採掘依頼に、薬草の採取、モンスター討伐などどれにしようか悩んでいると俺たちを見た冒険者ギルドの受け付けのお姉さんが奥に行き、カードを渡してくれたおっさんが急いで出てきて話かけてきた。


「おいおい久しぶりだな⋯⋯登録だけしといて他のギルドで話題沸騰中の3人組じゃないか。こっちにも活躍を頼みたいところだぜ。朱のダンジョンも一時期、閉鎖に持ち込んだ問題児さんたちだしな。


そういえば商人ギルドの建物の幽霊退治もしたらしいな。


クエストにあったんだがランキングランクが高くないと入れない住居区<中京層>での依頼を完遂するとは聞いてびっくりしたぜ。

工房ギルド支部でもドラゴンを従え期待されまくってるって話もあってガックリしてたとこだった」


 少し嫌みが入ってるな⋯⋯まあ登録だけして来なかったもんな。


「じゃあ数点クエストをこなすかな。素材があれば納品してもいいなら薬草採取と鉱石採掘とモンスター討伐を受けようと思うんだが⋯⋯」


「薬草採取と鉱石の採掘は素材があれば納品はオッケーだ。モンスター討伐は周辺のモンスターの被害などがあるから場合によって納品受注できるようにしている」


 モンスター討伐はそういうことになってるのか⋯⋯


 まあ問題ないし、薬草採取と鉱石の採掘はバティンのおかげでかなり潤っている。


レオナがクエストボードを見ながら何か見つけたようだ。


「あっ朱のダンジョンの依頼も入ってるのです」


「ちょうどいいな。朱のダンジョンも寄って行こうかな」


「暇潰しにはちょうどいいのだ」


「おいおい次は閉鎖とか無茶苦茶しないでくれよ~!?


あのあと大変だったんだからな。

ダンジョンに行けない冒険者がかなり不満を蓄えて抗議され、一時期冒険者ギルドの周辺依頼が枯渇し、ダンジョン鉱石の採掘が滞るしよ。


おかげで本部には大目玉食らうし、問題を起こした冒険者は他のギルドで大活躍されたことで⋯⋯幹部の連中がキレまくって⋯⋯俺の給料カットで⋯⋯ああ思い出すだけ地獄の日々だった⋯⋯」


少し涙目のおっさんは遠くを見つめて、黄昏ている。


 なんか申し訳ないな⋯⋯


「仕方ない冒険者ギルドにも旨い話を提供できるようにしよう」


 数点クエストをこなしたら当分いいかと思ったがとりあえず、クエストボードを読み返す


「追加で宝石の納品と中級の回復薬の提供、モンスター素材の納品とモンスター討伐でいいか。

魔物はルシファー頼む。レオナはそうだな⋯⋯あの机の上にでも宝石を置いてくれ」


「わかったのだ」


「はい!わかったのです!」




ルシファーに頼んで魔法袋からたった今退治した魔物を出してもらう。魔法袋から出すのも高速で動かし範囲瞬間移動エリアテレポートを使ってもらっている。


「おおっ⋯⋯!? なんだと?どこから魔物を取り出した!? 」


 おっさんは驚いているがとりあえず無視していいかな。


 宝石をギルドの受け付け嬢の前に置いていく。それを確認する受け付け嬢。


「ええっ?こんな純度の高い宝石見たのは初めてです」


 ざわざわと周りにいた冒険者たちも騒ぎだしてきた。


「朱のダンジョンを閉鎖に持ち込んだ奴らが持ってきたものを見てみろ⋯⋯

まるで今まで生きていたみたいに血色がいい⋯⋯なんて綺麗な魔物なんだ⋯⋯」


「まさかアイテムボックス持ちか?次々出てくるぞ!」


「しかしFランクって聞いたぞ。そんな奴らがなぜこんなにもすごいものを出せるんだ?」


「噂では工房ギルドのエースらしい。かくし球として冒険者ギルドに在籍していたとも聞いているぞ」


 ざわつきが強くなっていくのを1人の男が止めた。


「たかだか他のギルドで活躍してたからって、どうだっていうんだよ!

こちとら朱のダンジョンの封鎖で、ひもじい生活をするはめになってたんだ。

落とし前つけさせてやる!」


 つかつかと如月夏樹の前に歩いて来て男は指を指して叫んだ。


「Cランク冒険者のオリバ・グレートだ!俺たち『シャイニングセイバー』がお前らに決闘を申し込む。

どちらが多く討伐できるか勝負しろ!

お前らが負けたら身ぐるみ剥いで公衆の面前で晒してやるからな。

ハンデとして仲間の増援、モンスターは選ばしてやる。

せいぜい弱いモンスターを選んで数を稼ぐんだな」


 手を止めてルシファーがこちらを見て呆れた感じ話してくる


「負けるとか何を寝言を言ってるのかわからないのだ。マスター!!勝負を受けるのだ!」


 ギルドのおっさんが話に入ってくる


「このアンゲシュテルターが審判を勤めさせてもらおう。

お前たちが負けたらこのような決闘は控えさせてもらうからな!

とりあえず勝負は納品が終わってからだ!」


 ギルドのおっさんアンゲシュテルターは目が少し血走っている。


「わかったぜ。ギルドマスター」



アンゲシュテルターはギルドマスターだったようだ⋯⋯


納品が完了し、少しホクホクした感じになってるな。


ギルドマスターはこちらにこそこそ話しかけてきた。


「お前らの昇格試験はこの決闘で判断するからな。絶対勝てよ」


 仲間の増援はいいのか⋯⋯朱莉とベリルにきてもらうとしようか。


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