魄
吹き寄す風に、
「『しばし
「
友則は、
言の葉に
「
定省を抱えて声を上げる
「
善道は、うずくまって
友則は、
「家の全ての門に、物忌札を下げていなかったな。だから、鬼などに入り込まれるのだ」
「鬼って…」
御簾の内に定省を引き入れた善道は、友則に聞き返す。善道の声は震えて、目は潤み、もう分かっているのに。
「章成は、
貫之が、友則に聞いた。
――貫之が
「
友則は
「
友則は
「お待ち下さい」
貫之が
友則は口を開けたまま、
鬼は、高欄の上に立つ
友則は
この男が、鬼と向かい合って、感じるのは
しかし、
鬼と
響くのは、貫之が
定省は起き上がることはできず、目だけで、鬼と貫之の背を
友則は
「言の葉ではなく、舞で鬼を静められるものか、
さがなく(意地悪く)
貫之は
なのに、二人の舞は合っていた。
それでも、二人の舞は合って見える。
互いに見てもいないのに。貫之には、袖振る音も、足踏む音も、聞こえていないのに。
二人とも、善道の楽に合わせているからか。袖振りを、足踏みを、
――鬼は
舞い終わり、
「手も触れで
起き伏し 夜は
手も触れずに
美しいままにしておきたくて
もう手に触れることもできないあなたを想って
起きても伏しても 夜は寝ようとしても寝られなくなる
「鬼が消えてから、歌を詠んでもな。ここは『波』を詠むべきだろう。『起き(沖)』と『夜(寄る)』を思い付いたのに、どうして弓を詠むのだ」
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