第34話
電車に乗り、家についた俺を待っていたのは、リビングに並ぶ豪勢なお寿司の数々だった。
毎週土曜日の晩御飯は、出前をとって食べているのだ。
そして今日の出前がこのお寿司だったということだった。
「おかえり雄ちゃん!今日はお寿司よ~!」
お酒を飲んでテンションが上がっている母さんが、帰ってきた俺に気づいて大きな声を上げている。父さんは静かにお酒を飲んでいた。
「ただいま母さん父さん、今日はなんだか豪勢だね?何かあったの?」
いつもの出前から明らかにグレードアップしている食卓に疑問を呈すると、すっかり出来上がっている母さんが答えてくれた。
「明日は雄ちゃんが東京に行くでしょ~?だから今晩は豪勢にしようってパパと話し合ってたの」
東京に行く理由を話したから、お祝いの意を込めて奮発してくれたのだろう。
母さんも父さんもすでに楽しんでいるようだし、早く着替えてご飯を食べよう。
晩御飯を食べ終わり、酔っぱらっている両親をよそに御馳走様の挨拶をし、俺はアトランティスの屋敷の大浴場で疲れを癒すことに。
屋敷がお城に変わって、大浴場がどうなったか不安だったのだが、それは杞憂に終わった。
なんと更に広く豪華絢爛になっていたのだ。
お湯が流れるマーライオンの口の様なものが側面に幾つかついていたのだが、なんとそれはドラゴンの頭だったのだ。
さらには浴槽以外の洗い場も広くなっており、バスマットを何枚でも敷けるほどの規模だ。
今日はいつものメンツに加えて、アースお母さんとムンさんそれからウルスラとアレンも混ざっていつもの倍の肌色成分が溢れていた。
そして今俺は頭と体をウルスラとアレンに洗ってもらい、アースお母さんに抱きしめられたまま浴槽につかっている。
そして浴槽の端っこを陣取る俺とアースお母さんを囲うように、みんながこちらを向いているのだ。
これほどの極楽が、果たして他にあるのだろうか……いや、ない!
「主~?今日は夜更かししてもいい~?」
家族の中で唯一人間体の身長が俺よりも小さいミナモが、俺の膝の上で見上げながらおねだりしてくる。
ミナモと出会って初めての休日で、明日家を出る時間を少し遅い時間にしてあるので、ミナモは夜更かしがしたいらしい。
「あぁもちろん……今晩はみんなでいっぱいお話ししよう」
ミナモとニコニコと笑いあっていると、俺のお腹に回していた手を下腹部に下げて、アースお母さんがささやいてくる。
「今夜はたくさん楽しむんだから……お話ししている暇なんてないんじゃない?」
昼に聞いた母性溢れる声音とは裏腹に、色気溢れる甘い声に温まった体がさらに熱を帯びる。
「そうで御座います旦那様……せっかくミナモも一日人化を保てるようになったので御座います。今夜はパーティーで御座いますよ?」
……果たして俺の身体は保つのだろうか?
「大丈夫だ雄大。私たちの加護がある君なら、一晩中といわず一週間程度なら問題なくヤリ続けることが可能だ」
そんな俺の心配は、ファーティから告げられた神様たちの加護の強大な効果によって塵となったのだった。
「ああはは……みんな、お手柔らかに頼むよ?」
お風呂から上がり、みんなとたくさん楽しんで今は朝の四時。
お風呂でファーティに教えてもらった通り、俺の体力と精力が尽きることはなかった。
それならどうして今俺がツナミを腕枕しながらボケッとしているかというと、行為の最中にムンさんが俺に魔力の使い方を詳しく教えてくれたからだ。
「今日はいつもより格段に気持ちよかったで御座います旦那様♪」
「それは良かった」
その使い方というのは、俺の魔力を体液に多量に含ませるというものだった。
……そう、上位の存在にとって強力な媚薬となるらしい俺の魔力を、直接体に注ぎ込むことだったのだ。
そしてそれにかろうじて耐えられたツナミ以外のみんながダウンしてしまったので、今俺はツナミと二人でゆっくりとした時間を過ごしているのだ。
「明日は昼前に家を出るので御座いましたよね?」
「うん……冒険者ギルド本部がある東京まで新幹線で片道二時間かかって、新幹線の中でお弁当を食べる。それからギルドのお偉いさんといろいろ話をして、余った時間があれば東京のダンジョンを観光がてらに攻略、夜にはこっちに帰ってこれるように夕方には帰りの新幹線に乗る。これが明日の狩りの予定かな?……もしかしたら予定が崩れるかもしれないけれど」
一通りの明日の予定をツナミと話し合った。
それからは、他愛もない話をツナミの瞼が重くなるまで続けたのだった。
「おやすみ、ツナミ」
「お休みなさいませ、旦那様」
俺の腕に抱かれるツナミの額にキスをして、俺も深い眠りについた。
明日もいい一日になりそうだ……。
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