アガペ

 ありすちゃんは 

 お父さんと2人だけなの


 だから 

 いっぱい仲良くしてあげようね


 ありすが隣に 引っ越して来た日

 母に言われた この言葉


 僕の 存在理由のすべて


 うちで 一緒に晩ご飯

 一緒にお泊まり 一緒にキャンプ


 当たり前のようになっていて

 母も 娘のように接している


 ありすは いつもニコニコ

 誰からも 嫌われないように

 きっと精一杯の 自己防衛


 僕はそんなありすを 甘やかす

 何でも頷き 何でも与える


 高校生になってから

 僕がありすの分まで お弁当作り


 母に変な顔を されたけど

 彼女の事は 

 僕がしてあげたいんだ


 兄のように 親友のように

 恋人のように


 宿題も レポートも

 いつでも見せてあげるから


 大学生になってから

 バイトを始めた


 彼女が欲しそうに 見ていた服を

 何でもない日に プレゼント


 ありすは僕に 懐いている

 家族としてなのか

 男としてなのかは 

 分からないけど


 無償の愛? まさか


 そうやって 

 僕なしでは いられなくする


 これは 黒い欲望だ

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