おかしなおうち

 暗緑色の 森の中

 澱んだ淵の その先に

 マホガニーの扉がひとつ


 引きずるように

 開けると そこには


 ひとりの魔女が

 孤独を抱えて 暮らしていた


 ある日 彼と彼女が訪れる

 本当に 扉のほかは

 お菓子なんだね


 2人は感嘆の声をあげ

 チョコで出来た 柱を撫でる


 魔女は 彼らを招き入れ

 長い爪を 光らせながら

 澱んだ笑みで 囁いた


 おまえ達を うーんと太らせ

 まるまるにして


 あとで美味しく

 頂くためさ


 いや これから

 うーんと太らせるのは


 ちょっと効率 

 悪すぎませんか


 彼が爽やかに そう言うと


 お屋根のクッキー 

 砕いてタルトに


 クリームチーズとヨーグルト

 レアチーズケーキなんて

 どうかしら


 彼女がすかさず 代替え案


 お店の名前は

 魔女のチーズケーキ屋さんで

 どうでしょう


 宣伝は

 全てこちらに任せてください


 かくして孤独な 森の魔女

 かまどで焼かれることもなく


 隠れ家お菓子のカフェとして

 郊外からも 大人気 


 めでたし めでたし

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