詩集
@kisaragikanoto
物言わぬ彼女に花束を
今年もこの丘を歩く
君に会いにこの丘を登る
花束を持ち、空を見上げる
風が強く吹いていた
まるで、彼女の様に
涙が頬を流れる
私は……君を助ける事が出来なかった……
花が風に散らされる舞いあがる
僕はそれを止めるべく、少し力を入れて抱きしめる
だが、力が強すぎて、余計に花弁が散ってしまう
赤い 赤い薔薇が……散っていく……
まるであの日を彷彿させる様な赤い花弁が、私の体から零れ落ちる
誰か、助けてくれ!!!!!
あの遠い残響が……自分が叫んだ声がコダマする
自分の無力さに膝から力が抜けようとした
次の瞬間
どこからか飛んできた空き缶が、頭に当たった
まるで彼女がそこにいるかの様に……
私は、力強く大地を踏み締め、丘を歩く
彼女に会いに行く為に
物言わぬ君に
君が居ないこの世界の事を君に話す為に
物言わぬ君に代わり、私が語ろう
まだ、涙は尽きぬ
だが、君に語ろう
君の居ない世界で足掻く者たちのことを
だから、待っていておくれ
私が君の元に行くまで
この長い道の先で……
君に花束を届けに行く私を……
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