第163話 夕暮れ


遠くにみた夕日が

まるく明るく揺れていた

絵本の中みたいに

美しいオレンジの世界

浮かび上がったビルの影が

どこか偽物のようだった

何もかもがオレンジに溶けて

それが正しいと思っていた


夕日は少しずつ沈んで

オレンジは濃紺へと染まって


徐々に変わりゆく景色が

まるで別れのようだった

今日が終わってゆくのが

寂しくて寂しくてたまらなかった

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