第126話 はじまりのときに終わりのことを考える


ねえ知ってた?

はじまりがあれば

必ず終わりがあるってこと

ヒトだってそうでしょ

生まれたということは

一歩一歩死に近づいていくということ

少しずつ少しずつ

死んでいくっていうことだから

じゃあ始まらなければいいって

そう思う?

どうせ終わるのなら

終わってしまうのなら

いっそ始まらなければいい

そんな風に思うよね


でもね、たぶん、

始まるのはすばらしいこと

何にしても始めるってことは

踏み出すってことは

輝くみたいな勇気を持って

進み始めることだから

いつか終わってしまうとしても

はじまりがなければ存在自体

なかったことになってしまう


だから思うんだ

始めてみようって

勇気を持って終わりに進んでいこうって

だって見たいじゃない

道の先に何があるのか

終わりとは一体どんな顔をしているのか

険しくて困難で苦しくても

踏みしめるその一歩が

キラキラ輝く道を作る


存在を刻もう

今この瞬間、この場所へ

それがきっと未来へつながる線となる

そしてこのはじまりが

いつか終わりへとたどり着くその時に

ああ、あのはじまりは間違いではなかったと

思える気がするんだ


たぶん。


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