第119話 しあわせ
ほんの少し遅い時間
ぬるま湯につかりながら
幸せのことなんて考えている
幸せはたぶん
このお湯みたいに形がなくて
ふわふわゆらゆら
体を取り巻いているもの
形はなくて透明で
見えにくくて柔らかいもの
形のないそれをなんとか掴みたくて
右往左往してるけど
本当は案外そばにあって
体ごと包まれているのかもしれない
ぼんやりした思考の中
幸せに似たものを手繰り寄せ
そのぬくもりを感じてみる
遠かったはずの幸せはたぶん
すぐ近くにある
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