第110話 紫の空


ビルとビルの間を

冷たい風が吹き抜ける

避けきれなくて目を細めて

ぼやける景色

つき始めの街灯が滲む

乱れた髪はそのままに

ただ立ち尽くす

今日が終わる日暮れ前

紫色の空が寂しかった

深まる夜は音もなく

静かに静かに広がり

もう飛ぶ鳥の影すら

見分けられなくて

今日にもいられず

明日にも向かえず

ただ立ち尽くす

立ち尽くす




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