第92話 風の痛み


朝の風が鋭くなった


キリッと立つその風は

ほんの2ヶ月前まで

確かに柔らかかったはずで

凛とした姿なんて:

少しも見せやしなかった


なのにここから

柔らかさを削ぎ落とし

その鋭利な刃先を向けて

まるい頬を切りつける

痛みを伴うものとなるなんて


吸いこむ空気が痛い

風はどんどん鋭さを増す

止められない刃先

止められない変化

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