第64話 裏道


人通りの多い道から一本中に入って

ねずみ色の学校の横をゆっくり進む

ほんの少し影が増えた裏道

車のミラーに太陽が反射する


まだ午前中だというのにこの町は静かで

ゆるやかな時に溶け込んでしまいそう

水を撒くおじさんの白いシャツ

飛び散る飛沫にいくつもの虹が立つ


別にのどかでもなんでもない風景

きっとこれが日常というやつだ

この町にも私にも平等に時は流れ

もちろんおじさんも今ここにいる


遠目に見た信号は赤に変わったところで

急ぐ必要もなくペース配分を始める

ほんの少し影が増えた裏道

その先へと息を吸い込んだ

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