第57話 ペダル


ゆっくりゆっくりペダルを踏んで

のんびり進む帰り道

なるべく日陰の方を選びながら

流れる景色を見るともなく見て


道路標識に反射する夕陽がまぶしい

強烈な光はなんだか

この穏やかな時には似つかわしくなくて

くすりと笑みを落とす


受ける風がほんのりと

涼しくなってきたことに気を良くして

漕ぐ足に力をこめれば

さらさら流れる前髪


どうしたってまだ汗は流れるけれど

強敵だった暑さは今

柔らかな夕焼けとともに

やさしく背中を押してくれる


道はまだ続く

ペダルを踏む足に

そっと力を込めてみた


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