第34話 夏のさなかに


気がつけばもう夏のど真ん中


ジリジリと焼いてくる太陽

じっとり絡みつく熱気

もりあがる入道雲が

うんざりするほど夏を見せつける


わずかばかりの日陰に入って

恨めしそうに空を見ても

ギラギラ眩しい青は

ニヤリと笑って目を細める


なんでこんなに獰猛なんだろう

鮮やかで生々しい命を見せつけて

ささやかな存在である私は

さらに影へと身を隠す


夕暮れに耳をすませば蝉の声

そこにかすかに混ざるのは

ほんの少しの秋の音


ああいつの間に。


こんなにも鮮やかな夏のさなかに

ひっそり季節が変わろうとしているなんて


今日も眩しい空の下へ行く

鮮烈なこのときが決して

永遠ではないから

だから密やかに歩いていける

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