第30話 とある夏の日


深い緑色に囲まれた道は

どことなく夏休みの匂いがした


蝉の声が辺りにこだまする

今日という日を刻み込むみたいに


そっと手を差し伸べてみれば

しっとりした空気が絡みつく


ほんの少しの涼しさを求め

いつ吹くともしれぬ風を待つ


時折落ちてくる木もれ陽に目を細め

ギラついているはずの太陽を思う


特別でもなんでもない、とある夏の日。


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