第8章344話:ラスボス3

大魔将ジルガーンとの戦闘が始まる。


大剣を構えるジルガーン。


――――まずゲームにおけるジルガーンの初手しょては、刺突しとつだった。


私はジルガーンの突きを警戒する。


「―――――ッ!!」


そしてジルガーンが攻撃を放ってきた。


やはり刺突だ。


超巨大ちょうきょだいな大剣による突き。


距離感をつかみづらい一撃である。


しかも速さは他モンスターに比べても格段に速く、少しでも回避が遅れたら即死する。


だが、この刺突は何度もゲームで見た。


だから私は安定した動作で、ジルガーンの初撃しょげきを回避する。


「ヌゥンッ!!」


続いて、ジルガーンがくるりと身をひるがえし、回転斬りを放ってくる。


地面にいる私をすくいあげるような斬撃だ。


私はソレを回避しつつ、同時にジャンプした。


ジルガーンの横腹よこばらを切り裂きながら、ジルガーンの背後へと抜ける。


「おお、一発決まったぞ!」


とレオンが歓声を上げた。


鎧が裂かれ、出血するジルガーン。


「ワルクナイ……ウゴキダ……ダガ(悪くない動きだ、だが)」


とジルガーンがつぶやいた直後。


ジルガーンの身体に闇色やみいろの光が溢れる。


するとジルガーンの身体と鎧が、みるみる修復する。


「か、回復しただと……!?」


レオンが驚いている。


「回復能力があるんですか」


とエドゥアルト。


そう。


ジルガーンは回復魔法を使えるのだ。


だからダメージを負っても、すぐに回復してしまう。


ラスボスにふさわしい鬼畜ぶり。


というかぶっちゃけクソボス。


(だから聖剣士と聖巫女が必要なんだよね)


ジルガーンは普通に攻撃しただけなら回復してしまうが……


聖剣士と聖巫女がいれば、ジルガーンの回復が無効化され、ダメージを蓄積することができる。


これがジルガーン討伐にレオンとラクティアが必須な理由である。


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