第37話 頭に「ゆ」のつく映画といえば?
YoutubeでもTikTokでも、危険なのがネコ動画。
可愛らしいネコのお茶目な動きを見ているだけで癒され、つい次の動画、次の動画……と見ていて、いつの間にか結構な時間が経過していることもがあります。
私は犬派というより猫派。
幼少期には実家で犬を飼っていたことはあるのですが、エサを出してくれる母にだけ懐いて、私がたまにエサを持っていってやると、威嚇で吠えてきて、怖かった記憶があります。
私がそばにいると、牙をむき出しにして唸ってばかりで、警戒して食べてくれないんですよね。で、こっちが物陰に隠れて、様子を伺っていると、ようやく食べ始める、という感じ。飼い犬には嫌われまくっていました。
ペットにはそんな恐怖心もあったのですが、友人宅に遊びに行くと、人懐こいネコがいて、すぐに頭をすりよせて甘えてくるんですよね。全身真っ黒の猫で、賢そうな顔立ちなんだけど、目を閉じて猫なで声で来るのがさー、これがさーホントーに、もー、かわいいの!(語彙崩壊)
そんな流れで、頭に「ゆ」のつく映画、「誘拐騒動/ニャンタッチャブル」を紹介します。
原題は「That Durn Cat」。
1996年のアメリカ映画。監督はボブ・スピアーズ、出演はクリスティーナ・リッチ、ダグ・E・ダグ、ジョージ・ズンザ、マイケル・マッキーン、ベス・アームストロング、ディーン・ジョーンズ、ダイアン・キャノン、トーマス・F・ウィルソン、ブライアン・ヘイリーほか。
「退屈な田舎町」に不満を抱いている十六歳の女の子・パティ。
この町に満足している周囲の人たちとは接点を持とうとせず、いつもひとり。
友人と言えば、飼い猫のD.C.だけです。
そんなある日、テレビのニュースで誘拐事件が起きたのを知りました。
金持ちの夫人と間違えて、誘拐犯たちはその家のメイドをさらったという珍事件でしたが、身代金も要求してきたらしいのです。
散歩から帰ってきたD.C.を見て、パティは驚きました。
見慣れぬ腕時計を拾ってきたのです。
この腕時計、どこかで見たことがあるような……?
それは、新聞の記事で見た腕時計でした。
あの誘拐事件で間違えられて誘拐されたメイドが、腕につけていたものです。
「近所の……この町のどこかに、誘拐された人が監禁されているんだわ!」
これで退屈とはおさらば。息巻いたパティは警察に届けます。
最初はドジな刑事があてがわれることになりましたが、その刑事の奮闘でFBIが動くことになり、パティと共に、D.C.の行き先を尾行して誘拐犯の潜伏先を探ろうとしますが、これまたドジばかり……。
果たしてメイドを無事に取り戻し、誘拐犯を捕まえることはできるのか?というドタバタコメディです。
ネコの行き先に誘拐犯がいる!と躍起になったFBIの捜査員4人組が、深夜に出かけるD.C.を追いかけるのですが、これがまた抱腹絶倒の展開。
無線で連絡を取り合い、「ついにネコの行き先の家を発見しました!」と踏み込んでみれば、パティの家に帰ってきていた、というシーンには爆笑させてもらいました。
そして、味のある、キャラの立ちまくった脇役の面々も忘れがたいです。
立派な刑事だった父の跡を継いだがドジばかりの刑事。
到着早々「早く帰りたい」とこぼすFBI捜査官の面々。
株で失敗して自己破産したばかりだから、「仮にメイドじゃなくて妻が誘拐されていても、身代金は払えなかった」と告白する、金持ちの夫と、ダイエット中で美容にうるさいくせに、チョコたっぷりの甘いものを遠慮なく食べる妻。
交通ルールにやたらと厳しく、誘拐犯が車を運転しているときも「ハンドルを持つ手は10時10分!」と怒る、人質のメイド。
お互いに向かいあった位置に店があり、ライバル心むき出しで喧嘩ばかりのカーショップ。
電話だけがシュミで、ずーっと喋りまくっている引きこもりの老婆。
昔はあちこち旅をしたがカジノですっからかんになって旅費がなくなり、町でレストランを経営しているおしどり夫婦。
平和で犯罪なんて起こらない町で、どんな些細なことでも「これは背後に大きな事件のニオイを感じる」と興奮する警察官コンビ。
その警察官に恋する、自分に自信が持てない肉屋の娘。
金持ちに憧れて葉巻にこだわるパティの父親。
ネコ関係のイベントを開催することばかりに情熱を燃やすパティの母親。
終盤で明かされる意外な誘拐犯(上記の住人たちの中にいます!)、エロもグロも暴力も流血も一切なし、ひたすら単純明快でドタバタな笑いと、ネコの可愛らしさで押し通す、家族向けのライトなコメディ作品となっています。
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