ワガママなオトナ編

第30話主要メンバーに報告

「まさか否定も肯定もされないとはな……」


 週末の放課後。

 クラスで決まったボランティア活動を報告するため、クラス委員が集められつい先ほどまで報告をしていた空教室の前で一人ごとを呟いた。


 学校としてはあくまでもクラス活動であり、生徒の自主性を想人るため……などと言っていたが要はアポなどは自分達と教師でやれという事だ。

 全学年のクラス委員と、生徒会役員それに学年主任と言ったそうそうたるメンツが集まった会議では、クラスで決まったボランティア活動の報告が行われ、予算の分配や類似活動での協力が話し合われ、計画が甘いクラスの意見を修正したり互いに意見を述べ叩き合ったのだが、ウチのクラス企画の評判は良く。

 上級生からは「一年で良くここまで練ったな」と、お褒めの言葉を頂戴していた。

 しかし、数が数なので学校側として一件一件に対して直接動くことは出来ないと言われてしまった。


教師オトナ生徒コドモに協力的でないのは、少し気分が悪いな……」


 この数日間で資料――と言っても地図と説明書きを加えたもの――を配布する小中学校分自前のPCで作成し後は、各学校からの返答を聞くだけになっていたのだが……


「悪い遅くなった……」


 教室の引き戸を開け中で待っているであろう。西郷さいごう川崎かわさき菜月なつきさんを始めとする有志約十数名は学校からの連絡を待っていた。


「仕方ないよ。クラス委員の仕事だからな……」


 西郷さいごうはそう言いながら、一枚のプリントを手渡してくる。


「これは?」


「協力を依頼した学校と、上司に確認するから待って欲しいと言われた学校、それと協力してくれると返事した学校のリストだ」


 プリントを見てみると、二十校中協力してくれるが十校、上司に確認するが十校となっている。


「……予想通りというか何というか……前途多難だな……」


 資料を見る限り。当初の予想以上に面倒くさそうだという感想が口を付く。


「でもいいの? 一週間も相手に時間を与えて……」


 川崎かわさきさんの懸念は当然のものだ。


「大丈夫だよ。そのため事前に通話は録音してあるんだし、面倒だからやりませんと、手のひらを返されたらそれはそれで対応の仕方はあるし、データが多い方が良いだけで絶対ではないんだから割り切るしかないだろうね……」


「でも、予想外の好感触だったわ……どうしてかな?」


 菜月なつきさんの疑問に俺は答える。


「簡単だよ。一つは母校に電話して貰ってるから断り辛いこと、二つめは資料はこちらで用意するので、保護者への配布と集計作業だけご協力下さいと言う。シンプルなモノにしたからかな……」


「確かに友達とか知り合いに頼まれると断り辛いもんね……」


 と、取り巻きの女の子が共感を示す。


「兎に角一週間後どうなるかだな……川崎かわさきさん達の施設へのボランティア活動なんだけど、三年の鈴谷すずや先輩のクラスの活動が老人ホームへの訪問らしいんだ。鈴谷すずや先輩に川崎かわさきさんのことを話したら「是非一緒に活動したいわ」って、言っていたんだけどどうかな?」


「先輩方と一緒なら安心出来るわね。私としても是非参加させて欲しいわ! 鈴谷すずや先輩に是非確認を取ってほしいのだけれど……」


「判ったあとでLIMEを入れて置くよ。ついでに他のクラスや学年も支援学校や保育園・幼稚園への訪問予定があるらしいから、混ぜて貰えないか確認してみる」


「面倒でしょう? 連絡先を教えて貰えれば私がやるけど……」


「このぐらいの手間は別にいいよ。それに他のクラスや学年の企画したボランティア活動に、他の学年やクラスを積極的に入れようと言ったのは、実は生徒会長なんだ。だから俺がやっているのは生徒会長が提案したものを使って、お願いしているだけに過ぎない」


「でも……」


 そう言って彼女は食い下がる。


「それにこうやってクラス活動にもしっかり参加してくれているんだから、クラス委員としての仕事が多少増えたとしても俺は、文句は言わないからさ川崎かわさきさんも、自分が出来る範囲でやりたいことが出来そうで良かったね」


容保かたもりくんありがとう」

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