第138庫 ニャニャンの提案

 瓦礫の山の上、ニャニャンが空を見上げながら、


「まず、ホームを修理しようと思うのね」

「「……はい」」


 ニャニャンの提案に、ナコとホムラが正座しながら答える。

 3人が暴れに暴れた結果、結局ホームは半壊した。天井どころか屋根すら吹き飛び、爽やかな風が縦横無尽に流れていく。


「壊れたものは仕方ないにゃあ。王都で腕利きの修理屋さんに依頼するから、1週間ほどで直ると思うよ」

「ニャニャン、Ramyua――ラミュアは来るの?」

「ラミュにゃんは別件の用事で王都をでちゃったばかりだにゃあ」

「残念、入れ違いだったのか」

「まあ、修理期間と同じく丁度1週間ほどで帰ると思うよ。ゴザルにゃんも今ごろ海を泳いでこっちに向かってるかもだし、話し合いの時には皆揃ってるかもね」


 ついに、メンバーが集結する。

 もとの世界で叶えられなかった夢、転生してからずっと追いかけ続けた目標、念願のオフ会が――目の前に迫っていた。


「ソラにゃん、嬉しそうな顔してるね」

「ああ、素直に嬉しいよ。ずっとずっと皆でオフ会することだけを夢見て、ここまで来たんだ」


 長く険しい旅路、その隣にはいつも君が――僕はナコの手を強く握る。


「ナコと一緒に、ここまで来たんだ」

「クーラっ!」


 ナコが勢いよく僕に抱き付く。

 尻尾が高速で揺らめいており、喜んでいるということがすぐにわかる。ミミモケ族ってこういうところ表にでやすいよなぁ。種族によっては耳がよくなったり、匂いに敏感になったり、ハッキリとした特色が見て取れる。

 隠せぬ習性だろうか、ニャニャンがナコの揺れる尻尾に向かって、


「ふんっ! ふんっ!」


 一心不乱にパンチを繰り広げている。


「……ニャニャン?」

「はっ、違うのにゃあっ! なにこいつみたいな目で見ないで? にゃっちにも抗えない本能なの」


 仕切り直すよう、ニャニャンがパンっと手を叩き、


「今後についての真面目な話と行きたいところだけど、今日はソラにゃんもナコにゃんも王都に着いたばかりだからね。ホームもナイスタイミングで半壊したし、修理が終わってから皆で話をしようと思うの。それまでは、各々好きにしようにゃあ」


 ニャニャンは言う。


「ソラにゃん、せっかくだから王都を観光してきたらどう?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る