第116庫 Revolと名乗る男
「俺の名はRevol――リボルだ」
僕は端的にリボルに問う。
「僕をここに呼んだ理由はなんだ?」
「最初に言っただろう? クーラ、君を勧誘したかったと」
「どうして僕に固執する?」
「ウィンウィンで君を見かけた時、運命を感じたんだよ。生きているなんて想像もしていなかったからね」
「それはどうも」
「さらに君はすごかった。オーラ・ストーンの試練すら乗り越えたのだから」
「あの不自然なスカル・キラーの出現、やっぱり裏があったのか」
「俺が想像してる以上に君は知識があるな。ゲーム時にはなかった強硬手段、呪術師のスキルに"因果の掌握"というものが存在してね。これはありとあらゆる結果を捻じ曲げることができるのさ」
「結果を、捻じ曲げる?」
「簡単に言うと、出現率を弄ったのさ」
僕の知識には存在しないスキルだった。
そして、それが意味する答え――超越者、このリボルという男は呪術師を極めているプレイヤーということになる。基本的に超越者は攻略掲示板にプレイヤー名が晒されることが多い。
僕の記憶にリボルという名前はなかった。
「スカル・キラーに囲まれて絶体絶命の瞬間、君が吼えるところを見ていたよ。命の火が消え去る寸前、宝石のような輝き! 心が震え上がった!」
リボルは演説者のように語る。
「クーラ、君は文句なしの合格だ。俺のギルド
「……なにが試練だ、合格だ。オーラ・ストーンでどれだけの人が死んだかわかっているのか?!」
「怒る意味がわからないな。この世界はゲームだぞ? 有象無象のNPC風情、道端の石ころとどう違いがある? 俺の思い描くイメージ、俺の好きなように生きてなにが悪い?」
どこかで聞いたことのある内容だった。
ゲーム世界だからと、ゲームのキャラクターだからと、似たようなことを口にしていたプレイヤーに記憶がある。
忘れるはずがない、忘れるわけもない。
「……カルン、ゴルン、この二人の名前に聞き覚えはないか?」
「カルン、ゴルン?」
リボルは考え込むよう上を見上げ、
「ああ、あの雑魚どもかな。ギルドに入ってすぐ死んで他メンバーの笑い草になっていたよ。それからはメンバーも厳選しているんだ。俺たちギルドの格を下げるようなやつを加入させても仕方ないからね」
リボルは淡々と言う。
「今、俺たちはこの世界の至るところで活動している。無論、世界を好きなように楽しもうというギルドの意志を土台にしてだ。だけど、闇雲に好き勝手しているだけじゃ子供と変わらない。この世界の根深い部分、俺のように国に関わることも大事だろう」
話すことはもうない。
いや、会話にすらなっていない。ただの一方通行、僕はそう強く感じていた。
「さて、改めて聞くよ。クーラ、俺たちのギルドに入らないか?」
「断る」
こいつはここで絶対に殺す。
僕は返事と共に明確な殺意を込めてリボルの体内に触手を侵入させ――躊躇なく身体を爆散させた。
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