第88庫 合流を目指して
白虎の間とは一転した光景が広がる。
マップを確認すると、白の宝物庫イレシノンテ――地下47階となっていた。未確認のエリア、氷迷宮ホワイト・ホワイト以来の未知の領域に違いない。
リーナがシークレットの存在を教えてくれていなかったら、今ごろ慌てふためいていたかもしれないな。
暗波と神威のせめぎ合いにより壊された壁の奥、瓦礫を処理した場所のそばに隠し扉があったのだろう。
色々なものが重なった不運、誰を攻めても仕方ない。今はただ皆と合流して無事に脱出することだけに専念しよう。
「……ソロで上級ダンジョン、未確認のエリアを探索か」
僕の触手は――ゴザルさんに届かなかった。
不幸中の幸いは飛ばされたエリアにモンスターがいなかったことだろう。急なエンカウントがなかっただけ助かったといえる。
白虎の間が30階となると、47階はかなり深い階層だ。
イレシノンテは王宮の歴史にも深く繋がりがあるダンジョンとも称されている。未発見の階層も無関係なはずはない。
一体、これより先はどんな秘密が隠されているのだろうか。
オンリー・テイルの世界観、世界設定が大好きな僕――公式ファンブックにも載っていない、まだ見ぬなにかがあるのかもしれない。命に関わる非常事態ながらも少しワクワクしている自分がいた。
度が過ぎるゲーム脳、ある意味恐怖を消し去る安定剤かもしれない。
さて、上に行くか下に行くか。
上に戻るよりはさらに下に行く方が危険度は低いか?
区切りのよい階数ごとに、帰還用転移陣がある可能性が高いからだ。
だが、転移陣のある場所は強敵がいるというリスクもある。
ゲームで例えると50階なんて確実にいるとしか思えない、だからといって今から単独で30階まで戻るのも現実的ではない。
「地下50階に行こう」
生存率の高い方に賭ける。
あとは皆が似たような階に飛ばされていることを祈るしかない。
ゴザルさんやキャロルさんなら――絶対に下に進むだろう。
僕はモンスターに見つからぬよう、身を潜めながら進んで行く。
これで僕だけ未確認のエリアだったらあの転移トラップを心底恨む。
まずは1階ずつ着実に――48階を目指すとしよう。
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