第26話 入学式・2
入学式が行われるホールまでお兄様にエスコートされると、ホール入口から少し離れた場所にクラス分けの掲示板が置いてあり、新入生達は皆、その掲示板の前で自分のクラスを確認しては一緒に来ていた友人らしき人とクラスが一緒で喜んだりクラスが離れて残念がっていたりと様々な様子だった。
私が少し後方から掲示板を覗き込むより早くお兄様が私の名前を見つけたようだ。
「ルナ、ほらやっぱりAクラスだよ」
「本当ですか!?お兄様と先生が勉強を教えてくれたからですね」
「そんな事ないよ。ルナが頑張ったからさ」
「ふふっ」
大丈夫かな、とは思っていても実際にAクラスだとはっきりすると嬉しいよね。これで取り敢えずは公爵家の面子は保たれたわ!でも次の試験でも頑張らなきゃね!
「じゃあルナ、そろそろホールの中に入ろうか。僕は中には入れないけどちゃんと席まで行けるかい?」
「大丈夫ですわお兄様!」
「そうかい?じゃあ後で教室まで迎えに行くから待ってるんだよ」
「わかりましたわ、お兄様」
お兄様とホールの入口で別れ中に入ると既に半数ぐらいの新入生の令息令嬢が椅子に座り入学式が始まるのを待ち、中には知り合いの方同士なのか話をしている人もいた。私はAクラスの席に行き後方の椅子に座る。座席は特に決まっていないのであまり目立たないだろうと後ろにしたのだ。
「あの......マルシーネ様でしょうか?」
式が始まるまで大人しく待っていようと思ったら声を掛けらる。流石に無視をする訳にもいかないので声のした方を振り返れば、そこには美少女がいた。
「私、ランドール公爵家の次女マリアと申します。兄からマルシーネ様のお話をよく聞かせて頂いてましてお会いしたいと思ってましたの」
び、美少女ー!!え、ランドール公爵家って事はギルバート様の妹!?居たっけ!?
あ、いや確かに居た。貴族名鑑で覚えたわ!ギルバート様には妹が二人と弟が一人居るのよね!!
「あ、はい!マルシーネ公爵家長女のルナと申します。以後お見知りおきを......」
「ふふふ。そんなに硬くならないで欲しいわ。同じ公爵家だしお兄様だけでなく是非私とも仲良くして欲しいわ!ルナって呼ばせて貰っても良いかしら?私の事はマリアと」
「えっと......マリア様」
「様は要らないわよ、ルナ」
「ま、マリア」
私が名前を呼び捨てにすると凄く嬉しそうに笑う。
「私の家、第一公爵家でしょう?近寄ってくるのは取り巻きになりたい子ばかりで本当の意味で友達になれる子が居なかったのよ......だから今日貴女に会えるのを楽しみにしてたのよ」
裏表のない、そんな笑みを浮かべて告げるマリアに、ああこの子なら確かに友達になれるだろうとストンと心の中に何かが灯る。
ああ、そうだ。私もずっと友達と呼べる相手が欲しかったんだと......。
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