第17.5話 閑話 ウィステリアの旅立ち

アルとはほんとに、いろんなことをしたわ。


たくさんまものをたおしたの!すごいでしょ。


アルはへんなやつだけど。たたかってるときはかっこいい。

わたしがかてなかったおおかみも、ふしぎなまほうでたおしちゃう。


おかあさんみたい!でもほめるとちょうしにのりそうだから、これはひみつよ。


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アルが、この森からでていくんだって。そんなのだめよ。

わたしは?おいてくの?ちゃんとかぞくのところへおくってちょうだい。


でも。でもね。ほんとはさびしい。

それに、しんぱいだもの。

アルは、なきむしで、うれしがりで、たまにむずかしいかおをしてる、へんなやつ。


そしてとっても、かっこいい。


だから、まよってるの。


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アルはかぞくのところまでおくってくれたわ。


かぞくにあえた!ほんとにうれしいわ!

弟や妹は、からかってきたわ。かってにいなくなって、いけないんだあ、とか。

あのにんげんはだれ?わるいやつ?とか、ほんとにうるさいんだから!

アルはへんなやつ!わるくないもん。


おかあさんにはおこられちゃった。でも、うれしかった。

でも、せいちょうしたねっていってくれたの。そして、だきしめてくれた。


おかあさんがどうするの?だって。

どうするって。ここでまたみんなと、くらすわ。

みんなしんぱいだからね。わたしがいないとだめじゃない。


でも、でも。アルが。アルも、わたしがいないとだめみたい。

そうしたら、おかあさんがいったの。


「行ってらっしゃい。」

「でも、でも。」

「行きたいんでしょう。」

「でも、みんなは。」

「私たちは大丈夫よ。」

「またどっかいくの?」「いいなあ。」「ずるいよお。」


「皆いずれ、旅に出るの。貴女はそれが、今なのよ。」

「うぃす…てりあ。」

「なあに?」

「わたし、うぃすてりあっていうんだって。アルが。」

「そう。いい名前ね。ウィステリア。いってらっしゃい。」

「「いってらっしゃーい!」」


おかあさんがアルに、「たのんだわよ。」だって。

ぎゃくよ。わたしがアルのめんどうをみるの。


アルは、またこようねって。


あたりまえじゃない!








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