酔っ払いのセンパイちゃんと肉食系のコーハイくん

マコンデ中佐

第1話 居酒屋《前半戦》

//SE 居酒屋の喧騒


「おつおつ〜!今日もあっつかったねぇ〜。よっし! 今夜は飲むわよぉ〜!」


「誰よ店予約したの〜。席足りないじゃんッ。え? 急にメンツ増えたんだ? そっか〜。じゃあ仕方ないね」


「オッス〜! コーハイくん。ココ、いい? 良いよねッ! おっじゃましま〜ッス。あ、カオリ。となりおじゃま〜」


「あっちの席が空いてる? ああダメ、あの辺はだから。そう……危ないの。スケベばっかなのよ〜」


「ココなら安全、でしょッ?」//耳打ちするように


「ちょっと詰めてね。あたし、お尻ちっちゃいから平気だよッ。ほら詰めてッ。ゴメンゴメン。三人掛けに四人はキツイかァ〜。アハハッ」


「コーハイくん。サークルの飲み会、来るの初めてだよね。誰かに誘われたの? あー、ミドリかぁ〜。でもあの娘、今日来ないよ」


「え、なに? ミドリが居なくて残念? なになに? もしかして? あの娘のこと? 狙ってるとか?」


「で、でもさぁ、ミドリはなぁ〜。どうかなぁ〜」//棒読み


「違うの? じゃあいいじゃん、あたしと飲もッ。なによォ、あたしじゃご不満?――――うむ、よろしい」


「あたし、カルーアミルクね。2個頼んどいて。ひとつづつだと、すぐ無くなっちゃうから」


「あとは〜。おまかせサラダと、串焼き盛り合わせと……若鶏の唐揚げはマストでしょ〜。あとは、ポテサラとポテトフライとジャーマンポテト! このお店に来たら必ず食べるのッ」


「芋ばっかりだって?……キミ、馬鹿にしてるでしょう。ホントーにここのは美味しいんだからねッ。キミは何か食べたいものない? 好きなの頼みなよ〜」


「ハア!? あん肝!? しっぶッ。焼きそばて! もうメシかよッ。アハハッ」


「あッ、きたきたー! 回して回してッ――――よ〜しッ、カンパーイ! お疲れ様でした〜ッ!」


「君もはい、カンパーイ」//隣で囁くように


//SE グラスとジョッキを打ち合わせる音


◇◇◇


「ねぇ、おかわり頼んでェ? また2杯ね。そんな早いペースで大丈夫って? ヘーキヘーキ」//少し酔い始めている


「あたしィ、潰れたことなんて無いんだから。見えて、お酒、強いんだよ? 身長でヒトの事、判断しちゃダメなんだからねェ〜」


「キミは何飲んでるの? にごり酒!? オッサンか〜ッ! どれどれ、ちょっと一口ちょうだいよ」


「んッ、美味おいし……」//舌で唇を舐める


「なに?……そんな目で見てさ。イヤだった?」


「そうじゃない? ならいいじゃんよォ〜。ほら、あたしのカルーアも飲んでみ?」


「フフッ、美味しい? でしょ?」


「ねぇ〜、サラダ取って。キュウリ抜きで……だって……キライなんだもん」//甘えるように


「どうしたの? そんなに壁にくっついてさァ。腕が当たる? なァによそれくらいィ〜。狭いんだから、仕方ないでしょ」


「ウリウリッ! どうだッ。そんなに逃げないでよォ〜。ガッハッハッ」


あっつい? そんなに顔赤くしちゃってェ〜。もしかして、恥ずかしい? 照れてる?」


「キャハハッ! 冗談だよォ〜。ムキにならないで? なっちゃやーよ? ウフフッ」


「でも、照れてるんじゃないなら、これくらい平気だよね? ウリウリィ〜」


「どこまで耐えられるかな? ンフフッ」


「ウリイィィィ〜! あ、これは違うかッ。ゴメンゴメン。もうやんないからァ〜。怒んないでッ。アハハッ」


「砂肝食べたい。串から取って」//唐突に

「あ、いま気がついちゃった。キミ、左利きなんだねェ。ヘェ〜」


「お箸使うの、上手なんだ。字を書くのは右なの? それ以外は全部左なんだ。ふぅ〜ん。じゃあも左かぁ。ヘェ〜」


「ん〜ん! 何でもない。でも、何のことだと思う? 当ててみ?」


「ふむふむ。ハッズレ〜! 何考えたのォ〜。エッチだなァ」


「違う? 違うんだァ? じゃァ、あたしが当ててあげようか。キミがいま、何を想像したか」


「……でしょ、ね? 違う? ホントにィ〜? 怪しいなァ」//耳打ちするように


「ウリウリ! もうしないって言ったのに? うん。嘘ついた! 騙されたなァ」


「ちょっと! 女のコと触れ合った部分をさァ〜、ナプキンで拭くってヒドくない!? え? 汗? あ、あたしじゃないから! 制汗最強だから! 鉄壁にしてきたからッ!」//若干慌てて


「何でって……当たり前じゃん。そんなの……」//言いづらそうに


「キミの汗? ええ〜、冷房効いてるよ。ほら、あたしの腕サラサラだもん。触ってみ?ほらァ」


「触れない? 冗談だよォ〜。そう簡単に乙女の柔肌に触れられると思うなよッ」


「自分からは良いのかって? 良いに決まってるじゃんッ! ガッハッハ」


「あ、ポテサラ取ってェ〜。もっと! もう一声! よしッ」


「あ……ちょっと前、通らせてね。だって、あっちはふたり座ってるんだよ。キミの方から出たほうが早いから」


「いいから早く、通してよッ。狭いなぁ、おっとっと!」


//SE お尻が膝に乗る音


「ごめーん、よろけて膝の上に座っちゃった。別に重くないでしょ〜。あたし、ちっちゃいんだから」


「うゃんッ! ちょっと手ェ……腰やめて、くすぐったい。自分でどくからァ。いいから放してッ。やだッ、どこ持ってッ」


「トイレ……トイレ行きたいのッ! もう!」


◇◇◇


「危なかったァ。変な声でちゃった」//素面に戻って


「ふぅ〜。なかなか手ごわいなァ。まさか、あれだけやって気づかないなんて……そんな事ある?」


「その気になった雰囲気、無いなぁ。好みじゃ、ないのかな……」//少し落ち込む


「もう他に、付き合ってる人とか……好きな人、いるのかな。真面目そうだしなぁ〜。まあ、そこが良いんだけど」


//SE 頬を叩く音


「まだまだ、頑張れあたしッ」

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