余裕がなかった
僕には余裕がなかった。
夜中に記憶が飛ぶほど酔って
べろべろになった彼氏が吐き
風呂場で寝込み、そのまま二日酔い。
そのまま朝が来て通所。
駅のホームで電車を待っていた。
二日酔いで憔悴している彼が心配だった。
その時、水色…いや
濁ったコバルトブルーのリッチなバックを持つ
70くらいの老婆が僕にぶつかってきた。
女性はそれに気づかずホームの端に向かって
足を引きずりながら歩いていった。
それから2、3分後に電車がきた。
すぐに発車してしまうので乗ろうとしたら
さっきの老婆が僕に声をかけてきた。
「これ〇〇で行きますか?」
単純な質問、僕は焦りと
彼の心配事で頭がいっぱいで余裕がなかった。
だから「分かりません。」
冷たい言葉を放って電車に乗った。
少々、自分勝手だったが
あの時は仕方がなかった。
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