第30話 照ラス太陽
私は目を疑った。
この騒ぎを巻き起こしている犯人が、圭とゆみ先生だった事に。
熱いキス...。
人目も気にせず二人は壁に寄りかかり、抱きしめ、何度もキスをしていた。
学校で。
しかも学校中の人に見られながら。
私は愕然とし、声も出なかった。
涙すらでない。
意味がわからない。
なんで彼とあの人が?
前、図書室で見た時の事を思い出した。
圭はあの人に急にキスをされ、びっくりし、すぐ拒否をしていた。
なのに今は...。
彼も受け入れ、映画でしか見たこともないような、深いキスをしている。
完全に二人の世界に入っていた。
他の先生が止めようとするが、彼は止めない。
あの人も。
私は吐きそうになり、その場でしゃがむ。
「唯愛!大丈夫?」
すぐさま私を人混みの中で支えてくれる美華。
だが彼女も、あまりにもこの状況が衝撃的すぎて、私を支えきれずにいる。
教頭先生の声が聞こえた。
「生徒たちは教室に入りなさい!」
そお言って、他の先生達が生徒を誘導し、この場所から離れさせようとした。
私も美華に支えられ、なんとか教室に戻る。
その日は自習になった。
私は椅子に座るのも無理だったが、なんとか座り、顔を机に伏せる。
すると、コソコソと話している声が耳に入ってきた。
女子生徒A「圭先生とゆみ先生って付き合ってたの?」
女子生徒B「私も知らなかった。でもゆみ先生、前にこの学校にいた先生と結婚したって聞いたことあるけど?違うのかなー」
私はその言葉を聞きある事に気づく。
以前、図書室であの人が彼にキスをした日。
入り口から二人の様子を見た時、チラッとあの人の左手の薬指に指輪がしてあるのを見ていた事に気づいた。
そうあの人は既婚者でありながらも、彼に迫っていたのだ。
あの時は、そんな事考える余裕もなくて、圭と付き合っているのかと思っていたが、彼は指輪をしていない。
だから彼は怒っていた。
不倫関係になるから。
絶対にしてはいけないこと。
でも...。
今日はまるで違う。
いつもの圭じゃない。
私はこの教室にいる事が耐えられなくなり、屋上へ向かった。
それを必死に追いかける美華。
彼女も今日あった出来事を整理することができずにいるのに。
屋上に着き、空を見上げると、朝にあった曇り空はなくなり、太陽の光が私を照らしていた。
その太陽を見て私は涙を流す。
私を照らさないで。
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