第6章236話:モドルド視点2

<モドルド視点・続き>


さらにモドルドは言う。


「傭兵やってたころに、軍人メイドや軍人執事とは、何度か殺しあったがよ。それでわかったことは、連中は結局、戦争屋じゃないってことだ」


「じゃあ、なんなんですか?」


「使用人……護衛役だ」


「ふむ?」


「つまりな、連中が得意なのは、誰かを守るための技術ってことだ。しょせんは主人を守護するための存在だからな。ソレに対してオレみたいな生粋きっすいの軍人は、守る技術ではなく、殺す技術を身につけてる。だからオレのほうが、殺し合いにおいては有利って寸法よ」


「なるほど!」


「それに、何事も守るより攻めるほうが強いんだよ。だから、オレが軍人メイドなんざにおくれを取ることはねえってことさ」


もちろん世の中には規格外の軍人もいる。


が、そういうのがメイドや執事をやっているケースは皆無に近いので、考慮に値しないというのが、モドルドの考えだった。


モドルドの言葉に、女性兵士は感心したようにうなずき、言った。


「理解できました。じゃあ、その軍人メイドはモドルドさんに任せておけばいいってことですね?」


「おう、オレに任せとけや。お前らは、他の雑魚二人をぶち殺しておけばいいぜ」


と、モドルドは笑う。


そのときだった。


男性兵士の一人が、あらぬ方向を指差す。


「あ、モドルドさん! あれ!」


「あん?」


と、モドルドを含め、兵士全員がそちらに視線を向けた。


砂漠の向こう。


砂煙を立てて走ってくる影がある。


一瞬、魔物かと思ったが、モドルドはすぐに気づいた。


(キャンピングカーだ!!)


モドルドはほくそ笑む。


間違いない。


あのフォルムは、キャンピングカー。


国境で検問をした際に見た新型馬車である。


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