第25話 桜の花が舞えば入学式……(7)

 私は彼と出会っても、二度とお話しをしないと。


 自身の心の中で。


 あの時に。


 固く誓っているから。


「私、あの時……」と。


 私山下光流は彼がいくら自身と同じ中学校……。


 それも彼が私よりも年上の男子。


 先輩だとしても。


 私山下光流は彼のことを二度と許す気はないから。


 私は少し離れた位置から。


 こちらの様子をニコニコと微笑みながら見詰め。


 様子を窺う彼の前方で。


「ふぅ~」と。


 自身の両腕を大きく掲げながら、深呼吸をすれば。


「私確かー! あの時ー! 【早咲き桜】の下で、貴方に告げたはずですー! 私に二度と話しかけないでくださいと言ったはずですがー! もうお忘れなのですか、貴方はー?」


 あの、小生意気な彼から、【早咲き桜】の木の下での、時のような失態をね。


 私山下光流はしたくはないから。


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