第拾陸話 唐突に目に入った見たくないものから視線を逸らすのは防御本能

重みを感じて目が覚めると、マオちゃんが真上に乗っていた。


そして、リシュナちゃんが隣から思いっきり抱き着いてきている。昨日ふたりで寝た時はそんな事をしなかったのに・・・何故?


なんとか目線をずらして時計を確認したら、まだ朝早い時間だったので二度寝しようと思ったら・・・



「カナデさん、お目覚めですか?」



「う~ん、一旦目が覚めたのだけど、まだ眠いからもう一眠りしようかなって思ってたところ」



「そうですか・・・」



マオちゃんの表情がものすごく寂しそうなものに変わって・・・



「だけど、そうでも無くなったから起きようかしら」



「そうですか!

 ワタシも起きます!」



「それにしても、マオちゃんは早いわね。ちゃんと休めてる?」



「はい!ちゃんと休めてます!」



「それはよかったわ。

 っと、リシュナちゃん、起き上がれないからこの手と足を退けてちょうだい」



リシュナちゃんの身体をゆすりながら声を掛けてみるけど反応はないので、そっと抱き着いている腕から外そうとするけど力の掛かり方が強くて抱きつかれている姿勢からは退けられそうにない。



「ねぇ、リシュナちゃ~ん、退いてよ~」



やはり返事がない・・・ただのしかばねのようだって言ったら有名なRPGゲームでおなじみのワードだけど、これは困ったなぁと思っていたら。



「痛っ」



マオちゃんが曲げてはいけない方向へ腕を捻って無理やり眠りの淵からリシュナちゃんの意識を呼び起こしたらしい。



「魔女、カナデさんが困っているから早く退きなさい」



「いたたたた・・・抱き着いてかなでを困らせてた私が悪かったけど、もうちょっと加減してくれても良かったでしょう」



「いいえ、カナデさんを困らせる悪い魔女には当然の対応です」



「マオちゃん、ありがとう。

 でも、今度からはちゃんと痛くない程度に手加減してあげてね」



「はい、わかりました。」



「おい、魔王!私に謝らんか!」



「マオちゃん、こういう時は謝らないとだめよ」



「魔女、やりすぎてすみませんでした」



「奏に言わされている感がありありなんですが・・・

 まぁ、いいですか。これからはやめてくださいね」



このままではズルズルしそうなので、ちゃんと起きることにした。



「ほら、ふたりとも起きられないから退いてちょうだい」



「すみませんでした」



そう言いながらリシュナちゃんがササッと退いてくれて、



「はい、すぐ退きます」



と、マオちゃんも退いてくれたので起き上がれるようになった。





起き上がったついでにテレビをつけると



(アナウンサーの音声)【・・・都中野区で国籍不明の外国人が立て篭もった事件で逃亡した犯人は未だ見つかっておらず、警視庁では・・・】



テレビを消した。

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