(二)

 福島信雄が夏井蘭子と高松瑞穂みずほを伴ってペンションから続く外廊下を歩いて行った。その先に露天風呂があるのだった。

 風呂の手前には簡単な脱衣所の建物があり、その先への入口には長いのれんが掛けられていた。

 その手前の木製の棚にはかごが置かれており、そのうちの二つには衣類が入れられていた。先ほど風呂に入ると言ってやってきていた日向ひゅうが徳満のりみつ大束おおつか咲来さきのものだろう。

 先ほど聞こえた悲鳴みたいな声は今は全く聞こえなかった。むしろ無音だった。二人が中で風呂に入っているなら笑い声など聞こえるはずだ。いや、お盛んな二人なら露天風呂でハメを外している可能性が高かった。


(続く)

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