第12話 暗黒教団の牙
「ほう、あの結界魔法を突破できるとはな」
「俺の目はあの程度じゃ誤魔化せない! 俺の目は真贋を見極める確かな目だ!」
そしてビシッとシスディアスを指差して啖呵を切る。
「さっさとアリシアさんの呪いを解け! そして俺は報酬を貰ってもう一度100連を引くのだ!」
「クックックせっかく掛けた呪い自ら解く訳もなかろうて……」
肩を上下に震わせるシスディアス。
俺は指をポキポキと鳴らし「それじゃぶっ飛ばす!」と言いながらシスディアスに近づく。
「フフフワハハハハ!! 面白い! 儂を倒すというのか小僧! フハハハハハハ!!」
シスディアスは笑ってはいるが、三角頭巾に丸く開けられた穴からのぞく目は笑っていない。
カチャと金属と小石がぶつかる小さな音を俺の聴覚強化(特)になった耳は聞き逃さなさい。
振り返ると、漆黒の甲冑で全身を包み込んだ騎士が抜刀し一気に間合いを詰めてきている。その速さは人間とは思えないほど。そのまま右手に持った細身の剣を俺目掛けて突いてくる。
俺の目は確実に剣先を捉える。そして身体はいち早く反応をし、その一撃をかわす。
「ほぅ、私の突きをかわすか……」
甲冑の男が呟く。
「反射神経(中)の俺だったらかわせなかったかもしれない……だがしかし! 今の俺は反射神経(上)。 しかも動体視力は(特)、お前の攻撃が俺に当たる筈がない!」
「ほざけ! 訳のわからんことを抜かしやがって暗黒教団の牙と言われる暗黒騎士ブラッドの本気をみせてやる!」
ブラッドと名乗った騎士は細身の剣を自身の前に立てるように構える。
「行くぞ。五十六連撃剣!」
ブラッドはそう言うと再び鋭い突きを放つ、完全に見切っている俺は楽にかわす。
しかし、その剣は一撃では終わらず、2度3度と繰り返し放たれ、数えるのが面倒くさくなるほどの連撃だった。
「五十六連撃全てをかわすだと……」
ブラッドの肩が呼吸の度に上下に動いている。消耗もそれなりにある様子。
「言っただろ。俺の反射神経は(上)に強化され、動体視力は(特)に強化されていると」
「ぐぬぬ……」
「ブラッド!」
シスディアスの声が響く。
するとシスディアスの手から稲光のような物が現れ、その稲光が俺を包み込み、その衝撃で後ろに吹っ飛び壁に激突する。
そしてブラッドが壁に激突した俺の前に立った。
「シスディアス様の電撃をまともに食らったな。バカめ、全身が痺れもうお前は動けない。ちょこまかちょこまか動きまわるハエめ。このままここで死ね」
「お前がな」
俺の右の拳がブラッドの兜の正面を捉える。そのまま後方に吹っ飛び、ブラッドの身体は壁にぶち当たる。
ブラッドはそのまま意識を失ったのか動かなくなる。
「な、なぜ……儂の雷撃を喰らってうごけるのじゃ……」
シスディアスが
「俺の麻痺耐性は(上)、お前の電撃なんぞ、小指の先が少し痺れるぐらいだ!」
「ブラッドがやられるとは……儂も本気にならなければならぬと言うことか……」
シスディアスは黒い三角頭巾を外す。
小さな身体でシワだらけのお爺さんが現れる。
「儂は自身に生者の呪いを掛け三百年生きながらえてきた。この儂をここまで追い詰めたのはお主が初めてじゃ!! 儂の全てを持ってしてお主を叩きつぶす!」
シスディアスはそう叫ぶと、地面に手を触れる。すると触れた地面が盛り上がり、シスディアスを包み込む。
そして身長3メートルばかりの岩巨人のような形になり、その巨人の胸から顔がでている。
「儂のゴーレムで、叩き潰しやる!」
そう言ってシスディアスはゴーレムの胸から俺を睨んでいた。
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