地獄の始まり
結局次の日は学校を休んだ。
この精神状態で行ける気がしなかった上に顔を見るのが辛いと思ったからだ。
あぁもうおしまいだ。
一生学校に行きたくない。
だがそういう訳にもいかなかった。
文化祭があるのだ。
ダンス部は文化祭で踊らなければならない。覚える振りがいっぱいあるのだ。
だがしかし俺は振りを何も覚えてないない。
付き合っている期間はゆかのことしか頭になかった。
俺はひとつのことを考え始めるとそれ以外のことが何も出来なくなってしまうのだ。
不器用すぎだろこいつ。俺のことだった
ちなみに俺はダンス部でビリを争うくらい下手くそである。
なので覚えていないのは大変まずい事態なのである。
でもなんのやる気も起きないなんなら布団から出たくもないのだ。
ほぼニートである。
もう明日なんて来ないで欲しい。
でも現実は残酷だ
次の日は来てしまった。
何も覚えていない。
焦ってるうちに授業が終わった。
「あおば振り覚えた~?」
翔平が声をかけてきた。
「いや全く覚えてない」
「え?がち?やばくね?僕もだけど~」
翔平は楽天的に言った。
「いいよお前はどうせすぐできるんだから」
そう翔平はとてつもなくダンスが上手いのだ。
俺と翔平は2人でアリーナに向かった。
アリーナがダンス部の活動場所なのだ。
俺らは練習着に着替えて練習をしはじめた。
「始まるまでの悪あがきしようぜ」
「やばいやばい」
焦って練習をしたがついに部長の声が聞こえてきた。
「集まってくださーい」
「いやーギリギリ覚えられたー」
横から腹が立つ言葉が聞こえてきた。
こんな馬鹿な話があるか。
人と人にはこんなにも差が生まれていいものなのか。
と俺は疑問に思う
翔平が9割覚えたのに対して俺は3割しか覚えていない
これは由々しき事態だと思う。
泣きたい。
とりあえず1回振りを教えなおしてくれることを心の中で祈った。
だがそんな願いは一瞬にして打ち砕かれた。
「じゃあまずみんなで確認しながら踊ってみたいと思いまーす」
明確に俺の人生が終わったことがわかった。
曲が流れた。
みんな踊ってる中、俺は周りを見ながら1秒遅れで振りを踊っている。もちろん翔平もしっかり踊っていた。
「みんな結構やってきてくれたねー!できてたー」
先輩が褒めた。
この時俺の内心はかつてないほどのガッツポーズをしていた。
できてないことがバレていない!俺の時代だ!
しかし現実は甘くはなかった。
「あおば~家で練習してきたー?すごく遅れてるんだけど?」
あ、終わった。
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