第69話

 最近草原で寝っ転がっていると、

「弟子にしてくれ!」

「兄貴と呼んでいい?」

「俺にも精霊を使役する方法を教えて!」


 とまあ、押しかけて来る少年を見かけるようになった。

 俺に何のメリットもないし、正直に言えばうざい。


「結婚してもいいわよ?」

「仕方が無いから世話してあげる。」

 ・・・・女性からのアプローチも多いが、何故かこんなのばかり。

 結婚?俺にも選ぶ権利がある。

 世話?既に屋敷を持っており、3人のメイドさんでいいのか?と、執事さんがいるから間に合ってます!と言いたい。

 まあ時折ステファニーさんみたいに、

「痛くしないからこっちにおいで?可愛がってあげるわよ。」

 危ないお姉さまには近づかないに限る・・・・痛くしないって何をする気なんだ?


 ダンジョンに向かう時以外、エレンは俺と行動を共にしない。

 何かする事があるようだが、ダンジョンの時、つまり雨天時は俺とダンジョンに向かうので一緒にいる。


 こんな感じでさらに数週間が過ぎた頃、変な人物がやってきた。


 豚の着ぐるみを着て、冒険者ギルドでどんな依頼があるのか確認しに来たのが最初らしい。

 いつ街に入ってきたのか誰も気が付かなかったようだ。

 あんな目立つ着ぐるみ着ていたら、すぐわかりそうなものだが・・・・認識を阻害させたり隠ぺいをしているのか?


 噂の着ぐるみを草原で見かけた時は、びっくりした。

 何せショッキングピンクと言われる物凄く濃いピンク色。

 顔も着ぐるみだ!

 そして・・・・何故か尻尾が常に動いているという、訳が分からないスタイル?だ。


 まあ俺には関係ないと思い、いつものように地面に寝そべっていたのだが、どういう訳か精霊の護りがあるにもかかわらず、気が付けば目の前でそれは寝っ転がっていた。

「ああ、邪魔するつもりは無かったのだが、どうしても貴方が行っている行動が気になってね。」

「はあ・・・・俺の事を知っているなら何をしているのかも確認済みなんじゃ?」

「ああ、すまないね、まだ自己紹介すらしていなかった。俺はピンク・ポーク。で、あっちで消えかかっているのが精霊リリスだ・・・・何分こちらの魔力に馴染めなくてね。どうやって魔力を得るか悩んでいたのだよ。すると君を見かけてね。。どうした事か君は恐ろしいほど良質な魔力を地面?から得ているよに見えたので、俺にも同じようにできるのか?と思って君の行動をもっと近くで見てみたくなったのだよ。」


 この人も精霊と共に行動しているようだ。


「具体的にどうやっているのか説明できないが、俺はこうする事で地脈と繋がる事が出来るんだ。」

 どんな反応があるのかと思ったが、

「あー成程、地脈か!気が付かなかったよ。そうやって繋がるんだね。俺にもできるのだろうか・・・・それにしてもよくこんな事を考え付いたね!素晴らしい!」

 何かブタの着ぐるみが寝っ転がって・・・・腹がつっかえて難しそうだ。

「これはなかなか難しいね・・・・仕方がない、尻尾を使おう。」

 ・・・・尻尾が動いた!地面に刺さる?どうなってんのこの人。

「・・・・ほう、これが地脈か。おお?魔力がいい感じに入ってくるね。しかも俺経由でリリスに魔力が行くので・・・・お?饕餮も復帰できる?」

 俺、精霊達と会話ができるのだが、ピンク・ポーク?さんの精霊、見えない。

 どうしてだろう・・・・だが、何となく気配があるのは分かるし、あ、なんか変な気配が増えた!

 彼は何者なんだろう?

「主役になりそびれたしがない着ぐるみ野郎だよ。」


 なんじゃそれ。

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