第28話

 俺とエレンが先程までいたダンジョンは、現在120層まで攻略されているとか。

 100層までは何とかなるらしいが、それ以降は魔物の質がガラッと変わり、101層以降に遭遇するには、100層を辛うじて攻略できた実力では全く歯が立たないらしい。


 それにダンジョンの広さも関係しているようだ。


 俺とエレンが僅か2日で50層へ到達できたのは、ダンジョンの広さがそれほどではなかったからだ。

 具体的に言えば、1層は僅か10メートル四方程度の広さらしく、魔物も弱いのが単独で行動しているので、余程の事が無ければあっという間に通り抜ける事が出来る。

 その後も低層は狭く、2層でも20メートル四方、3層では30メートル四方・・・・10層で100メートル四方と、何故か正方形で下へ向かえば向かうほど広くなっていく、それも上の層に比べ縦横10メートルほど長くなっているそうだ。

 実際そんな感じだったので、30層までは僅か1日で踏破できた。

 翌日は早朝から出発したので、何とか50層まで、つまり1日で20層を踏破できたが、50層ともなれば500メートル四方の広さがあり、それなりに魔物も出現するので下へ向かえば向かう程攻略速度は遅くなる。


 今回新たなパーティーで挑むが、●注:確か18話で●現在のメンバーだけでは60層が限界と言っていた気がした。

 過去には80層まで攻略できていたとかいないとか。

 つまり80層が1つのボーダーライン、という訳だ。

 しかし目標は100層と言っていたからな、エレンが調べている新メンバーが消える、若しくは死ぬのは80層以降だと思うので、そこからは要注意だ。

 そして何故キリのいい層が1つのボーダーラインかと言えば、それは10層毎にボス部屋の存在があるからだ。

 ボス部屋を攻略すれば、その奥が安全地帯と転移陣が・・・・転移陣は50層以降に存在しているらしい。

 俺は50層までしか行った事が無いからそれ以降は知らない。

 エレンの話だと、50層以降は10層毎にボス部屋と安全地帯、そして転移陣というのが確定らしい。

 ただ、60層以降にも安全地帯がない訳ではない。

 泉の存在だ。

 泉の周囲には魔物が近づかないらしいので、中層では真っ先に泉を目指す事になる。

 万が一攻略が遅れてしまえば、泉が救いになるからだ。



 で・・・・少し経って件のパーティーがやってきた。


「遅れて済まない、改めて俺がパーティーの代表、ボプ・ポプマだ。3日前にも伝えたと思うが、先ずは20層までを一緒に行って、様子を見たいがどうだ?」

 あ、俺は既に50層を・・・・そう思ったが、エレンが申告?した。

「ボプ・ポプマ殿、私もヘイマンス殿同様既に50層まで攻略している。貴方達が全員50層を踏破しているのであれば、そのまま50層へ向かっても構わない。」

 あれ?そんなのでいいのか?

 連携とかを・・・・まあいいか。

「確かエレン殿だったな。貴殿はいいが、そちらの方も50層を踏破?確かDランクと聞いているが大丈夫なのか?50層の推奨ランクはCだ。Dでは心許ない。」

 あれ?でも大丈夫って話じゃなかったっけ?

 すると受付のお姉さんが俺達の所へやってきて、

「こちらのヘイマンス様は条件を達成しましたので、現在Cランクへのランクアップ手続きを行っているので問題ありませんよ。もう少しで・・・・出来上がったみたいです。ではこちらへ受け取りのサインをお願い致しますわ。」


 何たる好都合、しかもこれでは後出しじゃんけんじゃないか!

 まあランクアップできるのであればそうしてもらおう。


「そ、そうか・・・・確かにCランクのカードだ。では50層へ向かい、そこから先ずは60層を目指し、その間にお互いの戦闘スタイルや各々の役割等を決めていこう。」


 この場で確認しないんだ?と思ったが、前もって3日の猶予があったからか、恐らく向こうさんも消耗品や必須アイテム、食料などは確保済みなのだろう。

 そう思ったが・・・・

「では明日の朝、ダンジョン前に集合、でいいか?」

 今から行くのと違うのかよ!

「それで構わない。ではパーティーの合流手続きを。」

 何か向こうさんとエレンが交渉している。

 俺の出番は無しだったようだ。

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