第6話
「?」
急に何を言い出したんだろうこの勇者は。
頭がおかしいにもほどがあるんじゃないか。
もし仮に私だけを追放するならまだ、まだわからなくはない。でも、エルダに関してはどういうことなんだ。
困惑しているのは私だけじゃないようで、ノッチも驚いている。
「イサムー、これ以上パーティーメンバーを追放してどうするんだー。そんなに仲間を追放したら負ける確率が高くなるだけだぞー。」
ノッチが援護してくれている。
というかノッチだけじゃんくてもそう言うだろう。
それほどおかしなことをしているのになんでイサムはさも当たり前に勇者パーティーから追放しようとするのだろうか。
「何を言っているんだよ、ノッチ。勇者パーティーから足手まといは要らない。わかるだろう。身の丈に合った場所にいないと弱者は長生きできないからな。ミレイヤにとっては追放された方がマシな人生が歩めるだろう。」
なんでこの勇者は口からこんな戯言が出てくるのでしょうか。
ノッチももう何も言う気はないようでした。
「というわけから、もう来なくていいよ。じゃあーなー。」
これでこいつらとの関係が終わると考えるとなんだかもうどうでもよくなってきた。
「こっちこそこれであなたと会えなくなるんでしたら清々しますよ。さよなら、その面一生拝ませないでくださいよ。」
こんな風にしゃべったことはこれまでの人生でないだろう。それだけ私は腹が立っていたようだ。
「フッ、お前からそんな言葉を聞けるとは思っていなかったぜ。役立たずのクセによ。」
最後に言い返せてよかった。そう思いながら私は自室に戻って荷造りを始めた。
……――……
私は勇者パーティーから追放された。それすなわち、職を失ったということ。
しかも王城に住むこともできなくなり、王都の下宿で泊まるしかなくなった。
「結局のところ働かないのが一番幸せだなー。」
ずっと同じ部屋から動かずに寝ている。
世間からどう思われようが部屋の中にいたら他人との繋がりを感じられることがないから心が楽だ。
とはいえ、こんな生活をしていたら貯金がすぐ底をつく。
私は失われた職を求めてぶらぶらと街を徘徊するようにもなった。
そこで心配してくれていたレイヤに会って私のこれからの人生は変わることになる。
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