プロローグ2
なんと俺も辺りが輝いたのだ。
「うおー何なんだ?凄まじいな今年の子供は」
司祭も喜んでいる。
正直俺も喜んでいる。何故ならジョブ次第では俺もミレイヤと同じステージに立つことができるのだ。
しかし、もちろんそんなことはなかった。
俺のジョブはレアであることは間違いはなかったが、勇者の関連ジョブではなかった。
俺のジョブは【カウンセラー】だったのだ。
【カウンセラー】がなぜレアであるかはわからなかったがこれまで出現したことがない唯一のジョブらしい。
俺にとってはそのスキルなど、どうでもよかった。
やはり俺はミレイヤとは違ったのだ。そして、自分の唯一のスキルから目を背けた。
周りからは凄いな~と言われる、けれどやはりミレイヤの方が期待度は上で、俺は自分のジョブに何の希望も見いだせなかった。
俺は悔しさと悲しさが入り混じった気持ちで立ち尽くしていた。
「ねぇねぇ、私これからどうなるのかな?」
ミレイヤは純粋に聞いてきた。俺は何も答えることが出来なかった。
そりゃあそうだ、俺はこれからはたぶん一人で生きることになるのだから。
家に帰っても俺は何もする気にはならなかった。
そして、ミレイヤが王都へと出発する日、俺は遠巻きにミレイヤを眺めることしかできなかった。
◇◇~ミレイヤ・クラリス~(視点変化)
私には仲の良い友達がいた。よく遊び、よく話、とても仲が良かった。特別な思いもないといえば嘘になる。
10歳になり、みんながそれぞれのステータスを確認した。私のジョブは【聖女】だった。
勇者パーティーのメンバーの一人のジョブでみんなを癒したりすることができるらしい。
私は嬉しかった。みんなのことを守ることができるのだ。
そして、レイヤもレアなジョブだったらしい。
私はこれからどうなるのかを気にしていた。司祭が王都に手紙を出していたのだ、10歳でジョブが判明し、勇者などの世界的に重要なジョブの場合は王都で訓練しながら保護される。だから、村の人々とはお別れなのだ。
それに気づいた私は次に会うまで遊んだりすることができないからレイヤと遊ぼうかと思ったがもうその場にはいなかった。
家に帰るなり父親が泣き始めた。母親もである。
父親のアレク・クラリスは強靭な肉体の持ち主で、村一番の力持ちだ。村に魔物が襲ってきたときには率先して討伐隊に入り、他の村人からも尊敬されている。そしてこんな人が泣いているのを見るのは初めてだった。
母親のミレイ・クラリスは村でも有名で貧乏な村人には食料を分け与えたり母親の中で最も手先が器用だと言われている。
私の両親が泣いている理由はわからなくはない。勇者パーティーの一員として戦うということは私が怪我をしたり、運が悪ければ死んでしまうこともなくはないのだ。私に子供がいたとしたらかわいい娘を戦場に送り込むことなんてしたくはない。
でも、国の意向であるし、もし私が勇者パーティーの一員として魔王討伐をしなければ人類が滅びかねない。
だから私はもう覚悟は決めてある。そして両親もわかってくれているのだろう私が何を言っても勇者パーティーの一員として魔王討伐をすることを。
その日の晩、私たち一家はつながりを確かめ会うように一緒に眠った。
……――……
三日が経ち、王都から迎えの馬車が来た。
その頃にはもう新たな聖女が誕生したことは有名になっており、レイヤの唯一のスキルの話なんて忘れ去られていた。
そしてこの三日間レイヤとは全く顔を合わすことはなく、レイヤがなんとなく落ち込んでいることだけがわかった。不思議に思いながら私は迎えの馬車に乗り込み王都に向かった。
父親と母親に会えなくなることは残念でみんなして泣いた。
しかし、付き添いとして、両親とあともう一人王都に招待することができるらしく、私はその一人にレイヤを指定した。ちなみに、到着は一週間後ぐらいになるらしい。これから私は王都に着くと、顔合わせや謁見をしてから訓練をする。そこから本格的に勇者パーティーとしての活動が始まるのだ。
そして馬車が出発した。
私は村の期待と人類の期待を背負い私は王都に向けて出発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます